休日に何もする気がしない人というのは鬱病の入り口らしいが、私みたいにひたすらTV録画の映画を観てるというのも、まあ似たようなもんだと思うが、とにかく凄いペース。
せめて最近のTV録画映画ベスト10をレポートしておこう。
①「ピアノ・レッスン」(1993年 ジェーン・カンピオン監督)
ショック性発音障害の子連れのイギリス在住のピアノ女教師が見たこともない山師と再婚するためにニュージーランドにやって来るが不倫。
という盛り込み過ぎのストーリー。
ホリー・ハンターが一世一代の名演技でアカデミー賞。
ハーヴィ・カイテルがスケベな不倫相手を好演。
②「ストレンジャー・ザン・パラダイス」
(1984年 ジム・ジャームッシュ監督 )
この歳になると、あれ、この映画観てなかったかな?というのがかなりある。
結局観てしまうが、この映画はやはりロードムービーの傑作だな。
師匠のヴィム・ヴェンダース監督の映画に比べて、余計なセンチメンタリズムが排除されて、さらにパンクなテーストが堪らない。
ジョン・ルーリーがなんともイイ。
③「ドリームガールズ」(2006年 ビル・コンドン監督)
ミュージカル映画にはまず食指が伸びないが、この映画はなかなかだった。
ダイアナ・ロスとシュープリームス及びモータウンを描いた映画。
ビヨンセ(中央)というのはやはり凄いエンターテイナーである。
そのビヨンセを歌でも踊りでも軽く凌駕するのが太めのジェニファー・ハドソン(右)。
この辺りのアメリカのタレント層の分厚さに驚かされる。
④「海街diary」(2015年 是枝裕和・監督)
「万引き家族」がカンヌ映画祭パルムドール受賞で俄かに注目の是枝作品。
騙されたと思ってみたが、綾瀬はるかがあんまり好きじゃないこともあって、ガックリ。
舞台が鎌倉なので小津安二郎の映画に似てるとか言われるが、トンデモナイ!
とにかくこの四姉妹の演技が下手過ぎる。
芸達者の樹木希林とか大竹しのぶなどの脇役も全然活きていない。
⑤「22年目の真実/私が殺人犯です」(2017年)
日本映画ならこういうサスペンスミステリーの方がよっぽど楽しめる。
TVサスペンスミステリーの中で、トリックが上等なのが映画になるのかな。
⑥「岸辺の旅」(2015年 黒沢清・監督)
アメリカ映画「ゴースト/ニューヨークの幻」のパクリというかこういう映画が多いなあ。
浅野忠信の人を喰った素っ頓狂な幽霊が面白い。
深津絵里は一応サマになっているし、小松政夫や柄本明の脇役がやはり上手い。
⑦「エリジウム」(2015年 ニール・ブロムカンプ監督)
最近観たTV録画映画ではベストワンかな。
地球は工場だらけで貧民のスラムと化して、富裕層は素晴らしい環境の宇宙ステーションに住んでいる。
作業中に放射能を浴びた工員が高度な医療を求めて、宇宙ステーションに向かうというストーリー。
工員役のマット・デイモンが適役だ。
⑧「トゥモロー・ワールド」(2006年 アルフォンソ・キュアロン監督)
この映画もいわゆるディストピア(悲観的未来)ものだ。
人類に子供が産まれなくなったらというストーリー。
こういう映画がやはり多くなっているなあ。
監督は「ゼロ・グラビティ」のキュアロン。
プログレ・ロックのファンなら上の一場面は、ピンク・フロイドの「アニマルズ」のパロディなのがわかるだろう。
この場面の前には、キング・クリムゾンの「宮殿」が流れていた。
⑨「いとこ同志」(1959年 クロード・シャブロル監督)
トリュフォーやゴダールの作品が有名だが、いわゆるフランス・ヌーヴェルバーグ(新しい波)映画の嚆矢とされる歴史的な作品。
嚆矢なのに評価が低いのは、やはりちょっと古めかしい表現が垣間見られるためか。
地方からパリの大学に出てきたいとこを、不良大学生のいとこが社会教育するというよくある話。
⑩「ドライビング Missデイジー」(1989年 ブルース・ベレスフォード監督)
ユダヤ人の未亡人に仕える黒人運転手(最近セクハラで話題になったモーガン・フリーマン、写真左)の半生を通してみるアメリカ南部の1940年代、50年代、60年代。
アカデミー賞作品賞、主演女優賞(ジェシカ・ダンディ、写真右)を受賞した名作だが、やはり退屈な映画ではあった。
よほど心と時間に余裕がないと観ない映画だが、観てしまった!
29年前から初老の男を演じていたフリーマンに感心しきり。
⑩番外 「胸騒ぎのシチリア」(2015年 ルカ・グァダーニ監督)
シチリアにバカンスに来た中年女性歌手が偶然にも前の亭主にバッタリ会って、巻き起こる騒動。
この映画も主演女優(ティルダ・スウィントン)のファンかよほど心と時間に余裕がないと見通すのは難しいB級映画だが、なんと見通してしまいました!
「胸騒ぎのシチリア」
(※右の背景画像も同じ)⇒
全て「ディオール」を身に纏ったスウィントンは確かにエレガントの極みではありましたが。
(2018.7.21「岸波通信」配信 by
葉羽&三浦彰)
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