1月がやたら忙しくて、「極私的ベスト2017年」が書けないうちに1月が終わりそうなので、慌てていくつか書く。
①ベストバー:「ルパン」
銀座の路地裏の地下にある、たぶん日本で一番有名なバー。
ここのカウンターの一番奥に座って、写真を撮ってもらいたかったのだが、遂に叶った。
ここのバーを訪れた太宰治、坂口安吾、織田作之助などのいわゆる無頼派と呼ばれる作家たちの写真がこのカウンター奥には貼ってあるのである。
この店は、いまだに人気があるので、カウンター奥に座り、連れに写真を撮らせるのは、なかなか難しいのだが、タイミングがあって、撮影に成功した。
私、福島では、ペンネームの「ダザワ」で通っているが、これは、葉羽が中学の時につけてくれた「惑 剣吾(まどわけんご)」と、中学から高校にかけて読みまくった太宰治を合成して、太沢戒功(だざわかいこう)というペンネームを自作した、ことに由来している。
それで、このバー「ルパン」に掛けてある太宰治の最も有名な写真の前で、写真を撮るのは、長年の夢だったというわけ。
ただしこの店、高いし混んでいるし、特に旨いわけでもない普通のバーである。
②ベストラーメン:新宿「ラーメン満来(まんらい)」
年々、食べるラーメンの杯数は減っていて、夏場の日高屋・黒酢冷やし中華と幸楽苑・和風ざるラーメンをカウントしないと(この2種類で合計20杯は食べている)、2017年は遂に30杯に到達しなかった。
時々無性に食べたくなるのがこの店のラーメン。
手のひら大のチャーシューには変化がないが、麺はかつての平打ちから普通の中太麺になった。
あっさりしているのにコクがあるスープには、化学調味料が使われている。全体に昔に比べたら劣化が酷い。
しかし、それでもスープ一滴も残さず完食。
今回驚いたのは、写真のただのラーメンが、950円したこと。いろいろ文句はあるが、また来年もこの店に来ているのはほぼ確実だろう。
③ベストランチ:西麻布「魚幸」三色丼
昼は海鮮丼と魚の煮物定食、焼き物定食のみ。
夜は幸寿司という寿司屋になる変な店。
写真の三色丼(ぶり、締めサンマ、中トロ、中落ち)1200円は、この六本木・西麻布地区では出色の存在。
毎日でも食べたいが、行列と品切れを覚悟しないといけない。
④ベストとんかつ :高田馬場「とん久」
東京で最近困るのは、旨い寿司屋に簡単に入れなくなったことだ。
何故か若い奴らが予約を入れて一人2万円みたいな寿司屋で食べている。
金の無い若い奴は旨いラーメン屋に並ぶ。最近は旨いとんかつ屋にも若い奴の行列が出来始めている。
まあ、2000円で味わえるグルメということなのか。
高田馬場はとんかつ屋の激戦区で、気狂いみたいに行列ができる「成蔵」を始め4店程がシノギを削っている。
このとん久もその1店だが、並ばずに入れることもある。
写真はロース定食1450円とエビフライ450円。4店の中では一番リーズナブル。
まあ、1カ月に1回ぐらいにしないととは思うが、守られていない。
⑤ベストオペラ:新国立劇場 オペラ「椿姫」
ヴェルディのオペラ「椿姫」は、これまで10回近く舞台で観てきたが、今回がベストオブベスト。
なんといっても、薄幸の高級娼婦ヴィオレッタを歌ったロシア人ソプラノのイリーナ・ルングが役になりきった入魂の名演。
それに何という美しさ!
幕切れはポロリときたほど。
⑥ベストコンサート:ファビオ・ルイジ指揮読売交響楽団(池袋・東京芸術劇場)
リヒャルト・シュトラウス「英雄の生涯」がメインだったが、微に入り細に入りながら迫力にめ不足しない名演。
この指揮者の凄さに圧倒されっぱなしだった。
読売交響楽団も見事に指揮者に応えた熱演。
(2018.1.30「岸波通信」配信 by
葉羽&三浦彰)
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