その当時から、海外ではMUJIと呼ばれた無印良品は日本人のみならず海外でもデザインにこだわる人々から高い支持を集めていたのだ。
(※右の廃棄画像:MUJI「豆から挽けるコーヒーメーカー」)⇒
その後もシンプルで低価格だけれども、「ユニクロ」とは違ってひと味こだわりが感じられるのが「無印良品」ということで人気になった。
スーパーマーケット西友のプライベートブランドがそもそもの出自で販売開始は1980年。
1970年代後半西武グループの総帥故・堤清二の命を受けたブランド創案者のひとり小池一子のキャッチコピーは「ワケあって安い」。
よく考えると「無印良品」というブランド名にしてからが、ブランドを否定しているわけだから、アイロニカルで人を食っている。
MUJI「しなやかタオル」
またブランド設立当初から山本耀司、永澤洋一などのデザイナーがかかわっていたことが、ユニークな商品政策につながっている。
2,3年後には、海外での売り上げが、日本での売り上げを上回るだろうと言われるほど海外での人気が高い。
「むじるし」「MUJI」という二通りの呼び名は日本だけ、「無印良品」と「MUJI」という二通りのロゴが使われているのは日本と中国だけだから、いずれ無印良品は日本でもMUJIと呼ばれるようになるのではないだろうか。
海外で通用する日本のブランドというと、ここ5年から10年は「イッセイミヤケ」「コムデギャルソン」「ヨウジヤマモト」の3大デザイナーブランド以外では「ユニクロ」「MUJI」という状況が続いている。
参考までにこの5ブランドに加わりそうなのが、阿部千登勢がデザインするパリコレ参加ブランドの「サカイ」だとみられている。
「ユニクロ」「MUJI」は、いわゆるコンセプトブランドであるが、売り上げでは「ユニクロ」が「MUJI」の数倍あるが、存在感ということになると「MUJI」に軍配が上がるのではないか。
その「MUJI」からビッグニュースが届いた。銀座のマロニエ通りに近い並木通り沿いに「MUJIホテル(仮称)」を2019年春オープンさせるというのである。
東京電力銀座支社の跡地で、これを読売新聞が235億円で購入し、三井不動産と共同開発することになった。
三井不動産の出店要請に対して、「MUJI」を手掛ける良品計画は、ホテルを併設する一館丸ごとMUJIを逆提案。この結果、地下1階から地上6階の一部が「MUJI」の旗艦店、地上6階の一部から10階が「MUJI ホテル」になることに決定。
並木通りに面していると言っても、ブランドの旗艦店が並ぶ晴海通りの南側ではなく、北側だがそれでも銀座のど真ん中ではあり、最高の立地だ。コンセプトは「アンチゴージャス、アンチチープ」。
室数、料金などは暫時発表されるが、ベッドやシーツ、歯ブラシ、コスメ、タオル、カーテン、コーヒーメーカー、ドリンク、スナック、ミニバーなど可能な限り「MUJI」で構成する考えだ。
「MUJIホテル」は年内に中国深圳(しんせん)と北京、さらに2020年中に奈良にもオープンする予定だ。
また地下1階から6階の旗艦店は3300㎡と世界最大かつ最高売り上げの店になる見通しだ。
旗艦店とは7000の商品ラインナップとサービスをすべて受けられる店で、現在上海、成都、有楽町にある。このうち有楽町店は「1000日劇場」跡の暫定活用地なので、今回の銀座店に移管される。
MUJI旗艦店&MUJIホテルが一体になった今回の銀座プロジェクトはまさに30年の「MUJI」の集大成になる。泊まってみたい「MUJI」ファンは多いはずだ。
なお並木通りの南側(銀座6丁目)には、やはり朝日新聞が保有しその子会社が開発する「(仮称)銀座朝日ビル」(セレクトショップのサンモトヤマの本店があった)の3階から12階に、ハイアット系のホテル「ハイアット セントリック銀座 東京」が来年初頭開業の予定だ。
こちらは「MUJIホテル」とは対照的にラグジュアリーなアーバン・ホテルだ。並木通りの南北で、読売新聞保有地と朝日新聞保有地のホテル合戦ということでも見ものである。