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紙媒体の終焉は近いが、日本では思い切りが悪くて、発行回数を減らしてなんとかしようとあがいているが・・・

「出版人・文徒」という今井照容氏が責任編集している日刊(土日祝日休み)のメールマガジンがある。

今井照容氏

(※氏のブログ「文徒アーカイブス」より引用)

 出版業界、新聞業界、放送業界、広告業界の話題をとりあげて、寸評を加えているのだが、今井氏はその風貌にもかかわらず、私よりも年下なのだが「紙媒体」や「書店」にただならぬ愛着があるためか、廃刊情報や書店の閉店・廃業情報が仔細に報じられている。

 特に書店の閉店・廃業は本屋好きのアナログ人間の私には肺腑をえぐられるように感じる。

 1999年に2万2296店だった日本の書店は2017年5月1日には1万2526店になっている。18年で55%だが、まだ減り続けるだろう。

 ファッション業界も収縮スピードがかなり速いが、書店の閉店スピードはそれ以上だろう。

    

 閉店スピードといえば、前出の「出版人・文徒」で今井氏は、TSUTAYAの閉店スピードが最近異様に早いことに注目して、増田宗昭カルチュア・コンビニエンス・ストア社長には、中内功(ダイエー創業者)や堤清二(元西武グループ代表)に似たものを感じるなんてことを書いている。

 Tポイントカードが順調に拡大しているので、そんなことはないと思うが、確かに気にはなる。

TSUTAYA

 紙媒体の受難ということになると、最近では、アメリカの「ローリング・ストーン」誌(隔週刊)が経営難で売りに出たというニュースに驚いた。日本版も出ている(セブン&アイ出版)が、そんなに経営が酷いのか。

 「ローリング・ストーン誌が選ぶ20世紀のベスト・・・・・」なんていう企画は鉄板だと思っていが、たぶんそんな権威なんかグチャグチャに踏みにじられているだろうことは想像に難くない。

 インフルエンサーとかユーチューバ―とかいう輩が選んだ「ベスト・・・」の方が重宝されているのだろうか。

    

 また、「イタリアン ヴォーグ」の編集長のフランカ・ソッツァーニの死去(2016年12月23日に享年66)に伴い、関連4誌の廃刊に対して、従業員がストライキを行った話も痛々しい。

(※右の背景画像「イタリアン ヴォーグ」誌)⇒

 フランカは、ただの雇われ編集長ではなく、私財も投じていたと推測されるが、「USヴォーグ」のアナ・ウインターなど比べものにならないぐらいファッションの動向については影響力があると言われていたフランカの逝去でこんな事態になってしまうのである。

フランカ・ソッツァーニ氏

 確かにデジタル版ではファッション表現に限界があるから、モード誌は、紙媒体の最後の砦だろう。

 しかし、読者はそんな悠長なことは望まずに、何かいいものはないかと漁っているだけだとしたら、命運はそれほど長くない。

 モード誌といえば、米「ナイロン」誌が紙媒体の発刊をやめ、デジタル版のみの発行になった。

 日本版「ナイロン ジャパン」はカエルムが発行元、トランスメディアが発売元だが、日本では紙媒体の発行は続けるのだという。

「NYLON JAPAN」

 日本のデジタル版は大手SNS会社のMySpaceが行うという変則発行になっている。

 まあ、2012年の「ニューズウイーク」の紙媒体廃刊&デジタル版に一本化の衝撃には遠く及ばないが、アメリカでは着々とデジタル化が進んでいるということだろう。

 その点、日本では思い切りが悪い。近々では、「装苑」(文化出版局)が隔月刊になるのを発表。「装苑」は文化服装学院の教材とか副読本になっているといわれているが、学生数も減って経営が大変だったのだろう。

「装苑」

 世界文化社「ビギン」編集長の児島幹規氏を「装苑」編集長にスカウトして誌面が面白くなっていたのに残念だ。

 また「GQジャパン」が年10回の発行になる。かつては、年12回発行しないと広告が入りませんよとかなんとか、広告代理店に脅されたものだが今はそんなことはないのだろうか。

 広告代理店の知人は「デジタル版とペアになった出広で、それも最近はデジタルがメインになっているから、さほど影響はないですね」とのことである。欧米では昔から年10回は結構あったが、日本でもそうなるのか。

「GQジャパン」

 でも、年12回読者に伝えたいことが山ほどあるから、昔は泣く泣く12回に収めていたのじゃなかったっけ?「今みたいにスカスカの内容じゃ、年6回でも年10回でも同じじゃない」という厳しい声もある。

 前出の広告代理店の知人に聞くと、「海外クライアントは、もう出広金額の50%はデジタルに出すように、日本法人に命令している。

 ただデジタル媒体は本国に報告してもそれはなんだ?となるので、海外でも発行されている紙媒体でそのデジタルPVもそこそこのデジタル媒体に出稿が集中している」という。

 しかし、「GQジャパン」の年10回発行には驚いた。ひょっとすると「VOGUEジャパン」も年10回なんてことにはならないよね?まさかその布石だなんてことは、ないでしょうな。そうなれば、かなりの衝撃である。

                

(2017.11.1「岸波通信」配信 by 葉羽&三浦彰)

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