私が、編集委員として携わっているファッション週刊紙WWDジャパンは2017年新年号(12月26日&1月2日合併号)で、「時代を映すアイコンはこの人」のタイトルで、都内17カ所で敢行した2017人への「あなたのファッション・アイコンは誰?」の街頭インタビューの結果を公表した。(※右の背景画像)⇒
もう3カ月も経過したが、なかなか面白い企画だったので、そのサワリを紹介したい。
この企画、SMAP解散で、今世紀に入ってからの最大のファッション・アイコンであるキムタクに代わるファッション・アイコンが登場しているのではないかという仮説から始まった。
話は大きくなり、2017年に因んで2017人を街頭インタビューするという壮大な新年号企画になり、編集部総出の人海戦術を挙行。
さて結果の詳細については、同号を買っていただきたいが、ここでは私が面白いと思った結果の一部をピックアップしてみた。
しかし、自分がファッショナブルに装うときに、ある人物を参考にするという気持ちが、私などには理解できない。
自分はファッション・センスがないから、その人物を参考にするということなのだろうが、「この人は○○をコピペしている」と思われたらどうするのだろう。「センスがないなあこの人は」と思われるよりはマシなのだろうか。
また、TVドラマを見て「○○が着ていたあのカーディガンはなんていうブランドなんですか?」と問い合わせて同じものを購買・着用する人々というのはどういう心理なのだろうか。
付和雷同とかアイドル崇拝と簡単に片付けられるのだろうか。それは自主性や選択権を放棄して大勢(たいせい)に身を委ねるということなのではないか。
もしかすると、ここには一種のカメレオン心理が働いているのかもしれない。つまり、大衆の中に紛れ込んで見分けがつかないようにしたい。目立ちたくないという積極的な心理が潜在的に働いているのではないだろうか。
職業柄、ブラックタイパーティなどという面倒くさいパーティがあり、かつてその一式買ったときに、その売り場の販売員の男が私に諭すように言った。
「面倒くさいものですが、そういうパーティで浮かない存在でいるためには、きちんとルール通りに正装することが大切です」。
まさに、ファッション・アイコンというものは、そうした「隠れ蓑」なのである。一体、今の日本人はどんな隠れ蓑を使っているのだろうか?
○まず街頭インタビューの定番の銀座和光前(81人)
第1位:米倉涼子(8票)
第2位(6票)は混戦:井川遥、石田ゆり子、石原さとみ、小池百合子、ココ・シャネル
……話題の小池百合子は例外にしても、ちょっと色気のある若奥様風がそろった。それにしても、ココ・シャネルには驚いた!
○続いて原宿ラフォーレの顧客パーティに来場の359人
第1位(61票)中村里砂
第2位(32票)石原さとみ
第3位(12票)emma,/ゆら/ローラ
……とにかく石原さとみ(30歳)がどの場所でも人気で総合でも第1位なのだが、ここでは中村里砂(27歳)がダントツ。いわずと知れた中村雅俊と五十嵐淳子の娘だが、こっちの方がバタくさい(言い回し古いか)。本来ラフォーレ原宿なら、モデルのemmaや読モのゆらが上位にいそうなものだが、ラフォーレの客も高年齢化しているのか。
○男子はどうなっているのかと伊勢丹メンズ館の142人
第1位(22票)菅田将暉
第2位(13票)藤原ひろし
第3位(6票)松田翔太/G-DRAGON
……メンズでは総合でも1位の菅田将暉(23歳)がダントツ。実家はテーラーで自分でも服作りするオシャレ。それはいいとして、ロートルの筆者としては90年代裏原のオシャレ番長である藤原ひろしが第2位なのが感慨深い。さすが伊勢丹メンズ館である。
○大宮駅前のヤンチャな男子33人
第1位(3票)登坂広臣(三代目J Soul Brothers)
第2位(2票)岩田剛典(EXILE兼三代目J Soul Brothers)
……ちょっとサンプル数が少ないが、やはりEXILEは東京郊外ではファッション・アイコンとして奉られていると考えていいようだ。
○アデライデの25周年パーティ来場者35人
第1位(1票)自分自身/夫/カニエ・ウエスト/アディッション アデライデ店長など35人がそれぞれのファッション・アイコンを回答。
……さすがにファッション感度の高いセレクトショップの顧客たちである。答えが完全に分かれた。本来はこれがファッションというものではないのか。
詳しくはWWDジャパンの12月26日&1月2日合併号を参照のこと。