「windblue」 by MIDIBOX


最近の新国立劇場の演目を振り返ってみたいと思う。

◆12月 ロッシーニ作曲「セビリアの理髪師」

 笑って2016年を締めくくろうということで選ばれたのだろうが、喜劇なのに凝り過ぎた時代設定(1960年代フランコ政権下の閉塞感蔓延するスペイン)や舞台を分割する手法が高尚過ぎて笑えなかった。

 「せびり屋の利発氏」というところかな。

 駄洒落やクスグリでゲラゲラ笑いたかったな。

「セビリアの理髪師」

(撮影:寺司正彦/提供:新国立劇場)


    

◆1月 ビゼー作曲「カルメン」

 カルメンを演じたのはロシア出身のメゾソプラノのエレーナ・マクシモワ。(※右の背景画像)⇒

 昨年4月はマスネのオペラ「ウェルテル」でウェルテルから求愛されるも拒絶する貞淑な妻シャルロットを演じていたのだが、これ同じ歌手なのというぐらいメイクも演技も一変。

 凄味がありすぎるカルメンだった。女って怖いですなあ。

    

◆2月 プッチーニ作曲「蝶々夫人」

 蝶々夫人は超難役だ。日本人のソプラノだと声量が足りなかったり低い声が出なかったりで大変。

 そこで不自然は承知で外人歌手を起用する。しかし日本の歌劇場なら日本人の、それも美人の蝶々夫人を見てみたいもの。

 今回、新国立劇場としては10年ぶりに日本人の蝶々さん(安藤赴美子)が登場。安藤は頑張ったが、メダルには手が届かなかったという感じ。

「蝶々夫人」

(撮影:寺司正彦/提供:新国立劇場)

 でもこの話、ちょっとひどすぎる話じゃないですか。

 ピンカートンという破廉恥漢を蝶々さんが刺殺して自分も死ぬという演出を誰かしてくれないものか。

                

(2017.3.11「岸波通信」配信 by 葉羽&三浦彰)

PAGE TOP


banner Copyright(C) Miura Akira&Habane. All Rights Reserved.