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阪急メンズ東京が2月26日にリニューアルオープンしたが、注目されたのは1階のコスメ売り場が1.5倍に拡大したことだ。

 オープン当初は香水がメインだったが、ここに来てスキンケアが充実。

 従来スキンケアは「ラボ シリーズ」(LAB series)だけだったが、高級ラインの「マックスLS」が好調だったので高機能製品のニーズがあると見て、「ドゥ・ラ・メール」「クリニーク フォーメン」「イソップ」「ディースキンメン」を新規導入した。

 「クリニーク フォーメン」ではスキンケアに加えアイブロウペンシル、ファンデーションなどのメイクアイテム8品も取り扱う。

 眉毛カットにかなりのニーズがあることもわかり、「見た目の印象アップ/眉毛のお手入れアドバイス会」などのセミナーも準備されている。

 またヘアケア商品もブランド別展開から1カ所に集められ、さらに水回りのスペースも作り、お湯の出る洗面台を導入するなど、かなり本気モードだ。

 男性コスメの本格的導入としては、2003年9月にオープンした伊勢丹メンズ館がその先駆けだ。

 いわゆる草食系男子の大量発生でスキンケアをする男子、さらにメイクアップをする男子が増えこうしたニーズに応えようとしたわけである。

 メンズ化粧品市場は2001年には111億円(経済産業省生産動態統計調査/男性皮膚用化粧品・出荷額)だったが、それから15年を経てすでに倍以上の規模になっており、さらに拡大が見込める市場だ。

 当たり前のようにスキンケアや眉カットしヘアサロンで髪をカットする「キレイ男子」の登場がこうした「メンズ・グルーミング」の本格化を後押ししたと言えようが、もうひとつのグルーミングのメイン顧客はメンズ雑誌「レオン」がターゲットにする読者である「チョイワル オヤジ」を筆頭にした50歳台、60歳台の「キレイ オヤジ」である。

 女性にモテるためにはお金にイトメはつけないというリッチマンたちだ。

 ただし、「チョイワル」や「キレイ オヤジ」もそんなに数がいるわけではない。基本的に50歳、60歳代の日本の男は女性などには無関心を装って「枯れる」のが普通なのである。

 では、どの世代に期待がかかるのかというと、人口が多い現在43~48歳の団塊ジュニア(1946年から48年生まれの団塊世代の子供たち)だという。

 あと5年もすれば、加齢臭や髪の毛や肌の衰えが気になるようになると同時に、子供の手が離れて可処分所得が増え、グルーミングにお金が回されるようになると予想されているのだ。

 あと5年の間に本格化するメンズ・グルーミングに備えた体制を築きあげたいと化粧品メーカーは考えている。

 男性客は女性客よりロイヤリティが高いので、まず地道なプロモーションで固定客を作ればその売り場のファンになって浮気はしないものなのだ。その際に刺さるキーワードは「予防」「男を磨く」などだという。

 また洗顔の際の洗顔料の重要さを啓蒙するとともに、アフターシェーブの時にスキンケア商品を入門用として推薦するのも有効だという。

 またサンプルをもらえばすぐ試す女性客と違って男性客はちゃんと説明を受けてその商品のよさが理解できるまではなかなか使用に踏み切らないという特性があるので、十分な説明が常に重要だという。

 また忘れてはならないのは女性へのメンズ・グルーミングの啓発。「うちの夫に高い化粧品なんて必要ない」という意識はメンズ・グルーミングにとって大敵。化粧で差別される男性を救う環境づくりが大切だ。

 メンズ・グルーミングの世界はある意味では始まったばかり、男性の購買心理をうまく衝いたマーケティングや販売戦略が必要なようだ。

                

(2016.3.18「岸波通信」配信 by 葉羽&三浦彰)

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