「windblue」 by MIDIBOX


音楽・映像ソフトのレンタル店として日本最大手チェーンTSUTAYAの運営で知られるCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)を率いる創業者の増田宗昭(ますだむねあき)社長兼CEOは、もともとは、ファッション専門店チェーン鈴屋(すずや)がキャリアの振り出しだ。

 だから増田の発想にはファッション的な要素が感じられる。

TSUTAYAのハウスキーピングコーナー

 ファッションとは簡単に言えば人間のライフスタイルのことだから、現在を生きる人々に、その生活を楽しく快適にするための様々な提案をするというのがCCCの企業理念なのだろう。

 またカルチュア・コンビニエンス・クラブという社名は、手軽に文化というものを感じさせてくれるという意味なのだろう。確かにCCCが手掛けるものには、「少しばかり文化の匂い」がする。

 (※右の背景写真:ロボットのペッパー君がお出迎え⇒)

 さてそのCCCが今年5月3日に二子玉川ライズ・ショッピングセンター・テラスマーケットにオープンした「蔦屋家電」が話題を呼んでいる。

 売っているものは家電、インテリア、グリーンを三本柱にして、本屋もあればカフェもある。

植物とインテリアも家電と並ぶ売り物の柱

 従来のヤマダ電機やビックカメラなどの家電量販店に代表される家電売り場のイメージを見事に覆している。言って見れば「少しばかり文化の匂い」のする家電も売っている快適空間なのである。

 そもそもディスカウントされた商品が林立する家電量販店を訪れる人が激減している。もうああいう店に足を運ぶのは御免とばかりに、家電はネットショッピングで購入する消費者が増えている。

 「蔦屋家電」はそうした世の趨勢にストップをかけて、消費者が行ってみたくなる家電売り場に挑戦している。

 実は、「蔦屋家電」は2匹目のドジョウとも言える。

 訪れる人が減っているリアル店舗に人を呼び込もうとして最初にCCCが成功したのが2011年12月にオープンした代官山の「蔦屋書店」を中核店舗にした代官山T-SITEだ。

音楽・サウンドコーナー

 本や雑誌が売れない時代に「蔦屋書店」は例外的な活況をオープン以来続けているが、本・雑誌の豊富な品揃えに加えて、音楽フロア、映画フロア、文具コーナーが充実している。

 また貴重な過去のアートブックや雑誌やアートに囲まれて飲み物とともに打ち合わせや読書ができる「Anjin」は大人気のカフェだ。書店の周りにはレストランやカフェ、格上の商品を扱う高級コンビニなどが軒を並べる。

 簡単に言うと「蔦屋書店」は「少しばかり文化の匂い」がするライフスタイル提案のショッピングセンターと言うこともできる。

フード&クッキングコーナー

 「蔦屋家電」と「蔦屋書店」に共通するのはどちらも高級住宅地にあり、ネットショッピングに客を奪われた商品を扱っているリアル店舗を中核にして快適でスノッブなライフスタイルを提案していることだ。

 一種の逆発想ということもできるが、都会人というのはこうした一種のスノビズムに憧れるものらしい。

                

(2015.9.1「岸波通信」配信 by 葉羽&三浦彰)

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