<soul-68> 二人はいい感じ
「?」
「!?」
明を見る一同に、明は我知らずボヤく。
「思いやりとかなんとか・・・・
そんなん思いつきもしない・・・俺はね。
反対に恥ずかしいよ・・・・
本当ちっちゃいからな―・・・・俺の気持ち。
自分の事だけだから」
と多少の儚げさを漂わせるのに、さも生意気だとばかりに、真野が
「あんたが言うな!!」
「何だよ?俺は反省もすんなって?」
「ちっちゃいのは見れば分かんだよ!!
あたしだってそうだもん。
だからでかくなりたいんじゃん!」
その素直過ぎる反応に、明は真野をキョトンと見た。
真野は照れ隠しに不貞腐れてムッツリとそっぽを向く。
瞬間明の脳裏にあの女性の言葉が浮かびハッとする、
『自分を見た方がいいわ・・・・私じゃなくて』
あれは・・・・こんなような意味だったのだろうか・・・・
他人を見る事が自分も見る事なら、俺は自分を見れなければ、誰も見えない・・・この素直な反応が、他人に反射した自分と相手の姿なのか・・・
なぜこんなにも素直にそれを受け入れ、又素直に心に染みたのかは明自身にもわからなかった。
真野の以外でも、ある種理解できる素直さは、この幽霊連中からもずっと感じられるものだった。
そう感じた次の瞬間には、もう幽霊連中は例の如く勢いを取り戻していた。
「おう?おうおうおう?息が合うのう?ってやつじゃろか?」
とひやかす先陣を切った助八に習い、仙吉が
「ひょっとして~、ひょっとすると、
二人はいい感じ~って感じかい~♪」
とリズムを付けると、
「いい加減にしてくれ!!」
と真っ赤になって戸惑いながら一応否定する明に、
「い~い加減はいい加減♪」
とさえずる様に歌を口ずさむ露子に、ツテも
「いい加減は塩梅っても言うねえ~。
あたしらがいい塩梅に塩漬けしたのかい?ニヒヒ」
とからかってほくそ笑むのに耐えられないと、自分でも驚くほど少女の様に頬が真っ赤になった明は
「そんな簡単に好きになったりできっかよ!!
棚から何とかじゃあるめーし!!」
【2011.11.1 Release】TO BE CONTINUED⇒