<soul-61> 自分の事
真野のいきなりの激昂に、シンと静まるその場の面々に、真野の勢いに呆けていた明が意識を取り戻すと、
「だからあんたらは!
何で知らねーのにそうやって人の事簡単に語れんだよっ……」
そう言いながらも、怒りと言うよりどう対処していいか解らず、明は言葉に詰まる。
どこから居たのか、福喜が声を出す。
「知らないからさ」
「!?」
「?」
明と真野、更に皆の注目を集めて尚、福喜は今までにない穏やかさで真野と明に向かう。
「時にそれは大きな一歩にもなる。だから相手を知ることができんだよ。
プライドなんてえのは、あっても無くてもおんなじさ。
心の有りようだからね。
心に留めておきな」
「?」
意味が分からず戸惑う明に、真野はただ黙って、理解できない自分の歯がゆさに歯を食いしばる。
福喜に吊られて、男性陣やツテもその場に集まって来ると、
「何じゃ何じゃ、いつまで青春しとるんじゃ?」
ひやかす助八に、清宮は柔らかに
「揉めてるイコール青春ですか?」
と微笑ましく聞くと、ツテが
「青春いいねえ。若さだねえ」
「俺今青春真っ盛り」
ホクホクと言い切る笑顔の仙吉に、希和子は
「ダンスパーティーなんて青春そのものですものねえ」
そう相も変わらず和気あいあいと和んでいく一同に、囲まれていながら知らぬ内に足を引いた明は、思わず襟のボタンを外すと、今までとは違う目でその和みを見つめた。
ふと気が付くと、同じく真野が、安心したのが悔しそうに複雑な泣き笑いの顔で身を引いて、騒ぎ明るい輪の外から、一同を懐かしむか愛着か、どちらとも取れる視線で見続けているのに、明は思わず擦り寄って行ってしまう。
「何か………ギャルにも色々あるんだろうけど……
火いつけちゃったみたいで……わりい」
「どうだっていいの」
呟く真野の切なさに、どうしていいか口に出している明。
「俺が大人げないのは知ってんだけど……
女って、男の見方知らねえからさ」
「!?何それ……偏見もいいとこ…
女はみんな男の事しか考えてないって思ってんの!?」
「いや思ってねーよ!!…思ってねーけど……
じゃあ何考えてんの?俺にはそれがわかんね」
真野は間髪入れずに言い切る。
「自分の事!!」
【2010.12.13 Release】TO BE CONTINUED⇒