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Story&Illust by 森晶緒
“Brown on Blue” by 佑樹のMidi-Room
Site arranged by 葉羽

 

<soul-51> 折り合い

「キッツイなー。露子さん、それ言っちゃお終いですよ」

 仙吉が囃すと、清宮は穏やかに切り返す。

「いえ。そんな事はありません。
 どこから見ても、立派なレディーでいらっしゃる。
 物腰が洗練されていて、欧米の品格を感じます」

「それ本気?」

 十勢が呆れてつい口を出すと、民がたしなめる。

「その言い方失礼よ?」

「いや……でもハーフは………」

 言い淀む佐山に、助八はズバッと自分は棚に上げて

「単なるにっぽんの婆さんにしか見えんわ」

 身も蓋もなく核心をつくので、希和子が曖昧に

「そう見える分苦労なさってるって事じゃありませんか?
 ……そうは…見えませんけど」

 ポロリと本音を末尾に付けると、ツテはニッカーと欠けた歯をむき出しにしながら、余りの勢いに怒っているのか笑っているのか分からない調子で、手をブンブン前後に振って、おばさんの喜怒哀楽全開で

「全く!あんたら人事だと思って散々言ってくれるじゃねーかい?
 みんな一言多いんだよ!!
 出生証明書でも持ってくりゃ納得すんのかい?」

「幽霊の身で出生証明は取れないんじゃ……」

 清宮がやんわりと話の腰を折ろうとするが、調子に乗った仙吉が

「みんなで見に行くか?役所に!!
 俺言ってもらえりゃ場所の見当はつきますぜ?」

 そう半分うそぶいて提案するが、真に受けた真野が慌てて

「ダンスどうすんの?成仏は!?」

「冗談だよ!!冗談!!真野ちゃんはウブでいいなー」

 とほくそ笑むが、助八が本当に残念そうにボヤく。

「そりゃなあ…成仏の方が先だわいなぁ」

「成仏したら後調べられないよ?」

 十勢が冷静に苦言を呈すると

「えー!?じゃあ本当に行くかー!?」

 と仙吉が得意になって喜び騒ぐので、幽霊達は喧々がくがく、と言うよりはむしろガヤガヤワイワイお祭りごとの様に盛り上がる。

 しかし、まだ先程の口論を根に持つ明は、騒ぎから外れて、傍観して楽しんでいる様にも見える福喜の隣りに忍び寄ると、ボソボソと詰問する。

「言わなきゃいいのかよ?
 あのギャルみたいに知らなきゃ何でも許されんのかよ?」

 執念深そうに突っ掛かる明に、まるでどこ吹く風で幽霊達の騒々しさに目を細めて微笑む口元を開くと、福喜は明には目も向けず

「それは相手が決めるこった。
 まあ、人ってえのは語らじも遠からず、わかっちまうもんだがね。
 どーにもわかんないのも居るこた居るが、真野は違うよ。
 あの子が何も分かって無いんじゃない。
 折り合って無いだけさ。あんたらが…まだ、ね。坊主」

【2009.10.30 Release】TO BE CONTINUED⇒

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