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Story&Illust by 森晶緒
“Brown on Blue” by 佑樹のMidi-Room
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<soul-50> ハーフの片鱗

 それまでふて腐れてひたすら黙っていた真野も、感心してついつい言葉が漏れる。

「すんげー……魔力。希和さんお見事………」

 それを清宮が珍しく聞き咎めて、

「真野ちゃん。女の子は『すんげー』は遣わない方がいいなぁ。
 後で苦労するよ?
 普段遣ってる言葉や習慣ってものは、なかなか抜けてくれないから。
 公の場で、つい出てしまうと、本当に大変な事だよ?」

 ツテがニヒヒと不敵な笑みを浮かべて、清宮に

「そりゃあ、お前さんの事かい?」

「?」

 何の事か分からない真野に、清宮は苦笑いで微笑み、誤魔化す。

 ツテは鼻で笑うと、まあいいさと大柄な態度で、

「しっかし、みんな居残った理由なんてあんのかい?
 わたしゃ30過ぎた頃からか、なーんも考えとりゃせん。
 何で残ったか、ちーっともわからん」

「ええ!?」

 と手を上げて飛びす去る勢いで驚く佐山に、仙吉はここはキメ台詞とばかりに言い切る。

「正に迷子」

「何も考えんて、あんた。わしでもちいとは考え事するぞい。
 そんな人間おるんか!?この世に!?」

 実は半分からかっているのが上目使いの目が爛々と光っているので丸分かりの助八だったが、それに乗っかる様にして、ツテもいたずらっぽい眼を輝かせて、大業に

「ここにおるわい。わ・た・し」

 と首を突き出して皆を見回すと、急に優しい目付きで

「考えても考えんでも、あんま変わりゃあせんからねぇ」

 そうつくづくと一人で納得する。

「それはツテさんのみ?じゃないのかなあ」

 と異を唱える佐山に、ツテはニヤリと眼を光らせると

「人生経験がものを言うわい。
 わたしゃ黒人さんと日本人の母親のハーフだからねぇ。
 小さい頃はよくいじめられたもんだった。
 もっとも、わたしゃ腕っぷしが黙っちゃいなかったがね。
 それで三十路で吹っ切れたのさ。
 色んなこたあ、あったはあったがねえ。
 まあ、考え無かった訳でも無いかもしれんが……
 今じゃぜーんぜん覚えとらんのよ。記憶が無い」

「それはただ単に老化じゃねーの!?忘れてるだけでしょ!!
 しっかし、言うに事かいてハーフって………片鱗さえ見えねー」

 呆れて信じられないとツッコム明に、たしなめる様に露子が

「ご本人がおっしゃるんですから、ハーフなんですわよ。
 そうは見え無くとも……」

 最後は自分で言い出しておきながら、自信が無く尻すぼみになると、やんややんやと幽霊達の野次馬根性に火が付いてしまい騒ぎ出す。

【2009.9.13 Release】TO BE CONTINUED⇒

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