<PREV | NEXT>
Story&Illust by 森晶緒
“Brown on Blue” by 佑樹のMidi-Room
Site arranged by 葉羽

 

<soul-47> プレゼント

 助八の叫びに皆が一斉に顔を向けると、助八はその手にしっかりとどこで見付けたのか、明のネクタイを握り締めて感極まった様子で

「すごいの持っとるのー!!こりゃあんちゃんのじゃろ?
 わしゃハイカラなのはとんとわからんが、こんだけは分かるんじゃ。
 5番目の家内が結婚決まった時に奮発して、
 これとおんなじエレメスのネクタイピンこうてくれたからのお。
 ネクタイなんぞつけんから、そのまま取って置いたんじゃが。
 わしゃこうてやる事はあっても、
 女から貰ったんはそれ1度っきりじゃったから…
 …あいつは出来た女じゃった。
 他の男に走りさえせなんだら……くそっ」

 最後は思い出し怒りにすり替わってしまう。

 明も福喜と言い合っていたのも遠のき、呆れ返って目を細めて助八を眺めながら

「エルメス!!天下のエルメスにエレメスって…
 …どんだけカタカナ弱いんだよ………」

 民が呆れ顔で思わず口を出す。

「若いのに随分イイ物身に着けてるのね。
 本当今の若い子ってお洒落って言うか、度胸あるって言うのか……
 私もエルメスは嫌いじゃないけど……高価なもの惜し気も無くって…
 …どうなのかしら」

 民の非難がましい目に、決まりが悪そうに明は説明する。

「貰いもんです……クラブの………店のママに貰ったんです。
 すんげー来店して金落としたから……
 プレゼントって名ばかりの、サービスポイントっぽい感じです。
 よくスーパーでもあるんでしょ?買い物したら何かプレゼント、みたいな」

「そんなにクラブでお金使ったの?」

 と更に非難がましい目で民は明を見るので、露子が仲に入って

「殿方には私厳しいですけれどね、若くても仕事絡みで
 クラブや飲みやのママさんと親しくなるのはあります事でしょ?
 殿方の憩いの場ですもの。
 私、そこは大目に見てあげてもよろしいんじゃないかと思いますわよ?」

「ええ。分かりますけど…明君そう言う風に見えなかったから……
 …そう言うとこ行くんだ……若い人も」

 若干呆れ切ってこぼす民に、佐山は何が文句あるのかと言わんばかりに口を挟む。

「若くてキャバクラ行く奴なんて五万といるぞ?
 中高年だけの社交場と勘違されちゃ困る!
 かえって若い奴の方が危ないんだ。
 羽目外して遊び過ぎて借金して」

「ドラマの見過ぎじゃない?」

 そう冷ややかに佐山を相手にしない民に、憤慨しそうになる佐山の脇から、チョロッと十勢が顔を出して

「クラブとキャバクラの違いって?」

 それまで黙って成り行きに任せていた十勢だったが、好奇心を抑え切れずに突如疑問を投げ掛けて小首を傾げる。

 周りの大人幽霊達は、十勢に聞かせるべき話題では無かったと、慌てて話の方向を変えようとする。

 一人明だけは、ギクギクーっとした胸の動悸が納まらず、軽く片手で胸を押さえて俯いた。

【2009.8.2 Release】TO BE CONTINUED⇒

PAGE TOP


  banner  Copyright(C) Akio&Habane. All Rights Reserved.