<soul-45> 念動力
助八が何のフォローもせずに『じゃー』をみせびらかして遊んでいるので、福喜が後を引き取る。
「確かにね。
生きてるもんより不思議な能力があるこたあるが、どのみち、
どうやら殺生やら傷つけたりってえ生きてるもんに危害を加える要素は、
どんな力を使っても、できない様になってるらしいね」
希和子がちょっと寂しげに
「切ったりはったりって作用もできないみたいよ?
……あたしたちって、強いて言うなら空気の塊みたいなものだから、
重さも何も無いのよ……ダイエットの心配は無くとも、
痩せがいも無いわよねえ」
と又々トンチンカンな所で憂いていると、ハッと気付いた明は、刺激が強過ぎた話に呆然となりながらも
「さっき………女子高生に足踏まれて痛かったけど?」
誰の事だと一瞬訝るメンバーに、いち早く真野の事と察した仙吉が
「本当ーに?」
奇妙だとばかりに顔をしかめてズズズイっと明に詰め寄る。
「気のせい?」
と露子が明の代わりに小首を傾げていると、真野が横から何を慌ててか勢い込んで
「あんたみたいな奴よく居んのよ!思い込みで騒ぐ奴」
明は首をひねるのが止まずに
「んな事言ったって………ポルターガイストできるんなら
……岩とか持ち上げて落としたりとか……」
「生きてた頃の自分で持ち上げられた分位しか、
あたくし達は物を動かせないらしいですわ」
露子が教えてあげると、明は益々こんがらがり、
「??じゃあさっきのドラム缶は?」
「生前から凄まじい力持ちってこったよ。
福喜さんは……むひひ、わたしゃと張るんじゃないかねえ?」
ツテが含み笑いをしながら福喜に視線を流すと、福喜は少しバツが悪そうに
「火事場の馬鹿力だよ。あたしらには重さはねーのさ。
喜びと悲哀、辛さと柔らかさ。
んなもんしか、死んでまで持ち合わせないんで丁度いいのさね」
まだ理解できないと首を傾げっぱなしの明を見るに見兼ねて、唐突に佐山がこぼす。
「真野ちゃん悪いなあ」
ギクッとする真野を、何の話かとキョトンと不思議そうに明は眺めた。
佐山は少しの気まずさは隠せないまでも、やはり二人より年長者として一過言なければならないと続ける。
「あの時ステップ踏むのに合わせて、そこのブロックコンクリ、
明君の足に霊力使って落としただろ?
スパルタ特訓かと思って口出ししなかったけど」
「………ええ!?」
2秒の間を置いてから理解した明は口をバカッと開けて驚愕した。
【2009.7.15 Release】TO BE CONTINUED⇒