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Story&Illust by 森晶緒
“Brown on Blue” by 佑樹のMidi-Room
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<soul-40> 取り囲む幽霊

「だから……さっきみたいな話は二度と言わないで」

 真野のキツい……と言うよりは、十勢を思っての口惜しそうな苦渋の表情に、明は自分でも驚くほど素直に謝っていた。

「悪かったよ………ごめん」

「あたしに謝んないで。本当なら十勢君に謝るべきなんだから……
 とにかくその話もう止めて」

「ごめん………」

 いたたまれなかった。

 それにしたって……あんな子供が……なのに………。

 今さっきの十勢の屈託の無い笑顔が、明に誰にと言う訳では無く口を開かせた。

「素直ないい子だな」

 ボソリと思わず知らず漏らしていた。

 真野は一瞬何事が起こったのかと明を食い入る様に見つめたが、明の何だか情けない表情を見て、それが本心からの言葉だと直感的に感じ取った。

 わずか……ではあるが、明への真野の態度は変化していた。

「当ったり前じゃない。あの十勢君がいい子じゃなかったら、
 世の中にいい子に当てはまる小学生なんていないよっ」

 とツンッと鼻を上に上げて澄ますが、その口元にはニヤリと咲いた微笑みが隠れていた。

 明は真野の変化に気付いてはいなかったが、非難されるであろうと思っていたのが的外れだった事で、気を取り直してジャケットを手で皺を伸ばして二つ折に腕にかけると

「ジャケットどこ置いたらいいかな……」

 と辺りをキョロキョロと見回した。

 次の瞬間、ドキリとする程の大声で

「何だってー?兄ちゃん踊れる様になったってー!?」

 とガシッと肩を掴まれて、真野の方へ無理矢理体を押し付けられてくっつけられる。

 想像以上の怪力で、明を押しやったのはツテで、その皺々の顔をご機嫌にぷっくりと膨らませると、又欠けた歯を見せびらかしながら

「踊ってみ!!私ら見ててやっから」

 そう言うと明をグイグイと真野に更に押し付ける。

「何すんだよ!?んなの急に………?」

 気が付くと、バンドの打ち合わせを二階堂としている福喜以外の全ての幽霊達が、物見遊山でニヤニヤと笑みをたたえながら明と真野を取り囲んでいた。

 幽霊達をかき分けるようにして、間から希和子が現れると、全くすまなそうとは裏腹の艶っぽいが能天気な声で

「ごめんなさーい。ネクタイまだ見つからないの~。
 ダンス終わるまでには探しておくから。
 ジャケットだけでも預かっとくわ。
 皺にならない様、箱の所に掛けて置くわね」

 と慣れた手つきで明からジャケットをスッと引き抜くと、隅の梱包用らしい大きな木箱の方へと、スススと音もなく移動する

【2009.5.12 Release】TO BE CONTINUED⇒

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