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Story&Illust by 森晶緒
“Brown on Blue” by 佑樹のMidi-Room
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<soul-18> 男は黙って力仕事

 まず最初は、佐山が先程言った自分のセリフも脇に置いて、納得した感じで、意識してでは無いが明つつきの斥候を務める。

「あれだろ君は。プー太郎とか言うのだろ?
 それでたまたま今仕事してない訳なんだろう?」

「違います!!」

 自分のなけなしのプライドにかけて、自信を持って明は言い返した。

 十勢はその背丈に似合わず大人びた口調で一言、

「じゃあニート?」

「この格好見てみろよ!!違うから!!」

 ムキになりながら明は自分の着ている背広のジャケットの襟を掴んで、グイグイと引っ張ってアピールする。

 仙吉が意味もわからず発言し、

「ヤンエグか?」

「なにそれ?」

 と不思議がる十勢に、

「知らん。言ってみただけ」

 そう軽く言い流す仙吉だったが、以外にも、ネイティブアメリカンの発音でツテが説明する。

「Young executive。
 Executiveは行政官とか実行力のある人って意味だから、
 若いのに役職に着いてバリバリやる連中の事だろうさ」

 一同がツテの容姿と雰囲気からは想定できなかった発音と博識ぶりに、『ホーッ』と感嘆の溜息をもらすが、一人明はやってられないと否定しまくる。

「ち~が~いま~すっ!!
 単なる……でもれっきとしたリーマンだから!!」

 露子が小首を傾げて

「りー?」

「サラリーマン!!」

 と明は言い切るが、だから何だと言う風体でツテが突っ込む。

「働いてるんだね?だったらなんで金ないんだい?」

 流石の明もグッと言葉に詰まると、唇を噛み締めてから、ポツリと

「今は……たまたま………金が無いだけで………」

 清宮がどこまでも凪の様な穏やかさで

「アルバイトすればいいのに」

「日雇いとかなあ」

 と、同意を求めようと、仙吉が皆を見回す。

「………日雇いはやだよ。体自信ねーもん。
 バイトは……全部断られたんです!!
 日払いか、せめて週払いじゃなきゃダメだっつったら、
 そう言う職種探せって……
 だからこんなバイトに手え出してんじゃん!!」

 仙吉が腑に落ちぬ顔で、

「だから嫌なら日雇いすれば?」

「体、体力に自信が無い!!そこまでは!!」

 と半分明は怒鳴るが、助八が、今までの話を聞いていたのか?と思う程あっさりと

「土方やれ、ドカタ仕事。
 いざと言う時はやっぱり金になるからなあ」

「だから自信無いって!!
 爺さんあんた何で金無いって知って…」

 露子が悪気は無いが遮って

「今意外と仕事量少ないそうですよ?
 私達の時代と違って景気も雲行きが読めないし、
 確か格差がどうとかで日雇い廃止って騒いでた様な」

 助八に憤っていた明も、思わず矛先を忘れて露子の意見に乗って相槌を打つ。

「でっしょー?」

 しかし、仙吉はキッパリと断言する。

「知らんわ、そんなの。男は黙って力仕事さ」

「わたしらの頃はそうだったねえ」

 と万感の思いを込めてツテが頷く。

「わしゃ、土建屋に顔利くから紹介してやるか?
 まだ覚えとる奴生きとったらな」

 助八が良かれと思って提案するが、見当外れも甚だしいと、明は軽く眩暈を覚えながら

「だーから!!力仕事はできないって!!
 無理!!……エンドレスだなあ」

 と気が遠くなる。

【2008.9.12 Release】TO BE CONTINUED⇒

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