<soul-17> 要らぬ詮索
助八もここぞとばかりに明にツッコみ、
「わしも人のこたあ言えんが、しっかしあんちゃんも金金言うとると、長生きで きんぞ?」
清宮が穏やかに
「助八さん、あなたは誰が見ても充分長生きしたと思いますよ?」
助八は笑って
「こりゃ一本取られたわい」
とおっちょこちょいを絵に描いた様に、ポンと頭を軽く打つ。
明はそんな幽霊達は構っていられないかとでも言うように、一言で吐き捨てる。
「言ってんな!!俺にだって事情ってやつがあんだよ」
黙っていた佐山がすかさず明をたしなめる。
「目上の人に向かってその口の効き方は無いなあ」
「………」
と黙ってあらぬ方をやぶ睨みする明に、奥の方から真野の声だけが飛んで来る。
「そう言うの守銭奴って言うんだよねえ!!ケッ」
「だーかーら!!何でそんな知らん言葉知ってんだよ!!
ギャルのくせに!!……終戦怒?戦争が何だってんだ!!」
「!?うるせー!!ギャルじゃねー!!」
明の逆ギレよりも、ギャル扱いが耐え切れず、それっきり黙ってしまう真野。
助八が徳々と語り出そうとして
「戦争って言やあなあ、あの頃わしらは」
「長くなるからその話やーめてー!!」
もう何十回と聞いて懲りた様子で、耳を塞ぐと嫌そうにする十勢に、流石の助八も十勢の事は尊重している態度もあらわに
「わりわり。悪かったからなあ、もう言わんから」
孫のご機嫌を取るお爺ちゃんさながらで首をすくめる。
ツテが御法度お構いなしで又切り出す。
「だけど、それにしたって、一夜で六万円もふっかけるたあ、いい根性してるよ、兄ちゃん」
「!?」
又痛い所をつつかれて、ギクッとしている明の眉間の皺を見ると、十勢が冷静な口振りで
「みんなさー、一々聞かない方がめんどくさくないと思うヨ。
結局この人に踊ってもらうんでしょ?
あんま怒らせない方イイんじゃないの?」
佐山が心得た感じで仲介に入ろうとする。
「まあまあ、十勢君の言う様、要らぬ詮索はお互いのためになりませんから」
助八が不思議そうに、今頃
「なんじゃ……あんたらは知らんかったか?
このあんちゃん金が無いんじゃよ。空っ穴なんじゃ」
「!?」
何故その事を知って!?と思わず身を乗り出して、助八にいきり立とうとする明に、好奇心をくすぐられた幽霊達はこれ幸いと、ゴシップ好き全開で明をつつきだす。
【2008.8.31 Release】TO BE CONTINUED⇒