<soul-13> お手並み拝見
佐山は話を続ける。
「真野ちゃんは福喜さんが連れて来たんだが、
詳しい事は我々も知らないんだ。
十勢君はねぇ……あんな小さいのに……かわいそうだと思うよ実際。
しかし、ダンスの飲み込みは早くて、
このメンバーの中じゃダントツに上手いんじゃないかな」
明は困惑しながらも佐山に問いかける。
「………信じなきゃ……なんないの?」
「何を?」
「……死んじまってるって……生霊とか……」
「君との付き合いは、今晩一夜限りだから。
君の自由でいいと思うよ?」
しばらく考えていたが、ハッと閃き、明は勢い込むと、
「!?そうか!!……生霊って事はどっかで生きてるって事!?
あの真野って子」
佐山は頷きながら、
「そう思う。でもそれがどこか知ってるのは福喜さんだけだ」
「………リーダーねえ……」
「あみだくじで決めたんだけどね」
「………は!?あみだ!?」
「だって公正にしなきゃだからさ。
リーダーはまとめるの大変だけど、
好き勝手できるから皆やりたがるんだよ」
「あみだ………」
単純過ぎる決め方に呆気に取られて、練習も忘れて呆けている明をめざとく見付けた福喜が、離れていても勢いがダイレクトに伝わる大きなドラ声で突然怒鳴りつける。
「そこのアルバイトと佐山!!
口動かしてねーで体動かしな!!」
佐山は抵抗せずに、
「はい!!やっぱり相手居た方が覚え易いかもなあ。
それじゃそろそろ真野ちゃんと踊る練習しようか?」
真野がどこからともなく、スイっと出て来て姿を現すと、
「お手並み拝見と行こうじゃない」
踊る態勢で両手を差し出しながら、明を小バカにした様子で誘う。
【2008.7.17 Release】TO BE CONTINUED⇒