<soul-10> 新参者
渋々真野の前まで来た明、ためらいながらも、
明が、男幽霊達の余りのすっとぼけたやり取りに唖然としながらこぼす。
「あんたら……何でそんな明るいの?
……幽霊っつったってそりゃ信じらんねーでしょ普通」
そこに突然福喜が雷を落とす。
「ジジイども!!くだらねーマネしてんじゃねーよ!!」
突然、打って変わってクフフッ、クフフフて笑い出すと、こらえ切れずに腹を抱えて笑う真野。
真野は笑いながら、
「ぶははは!みんな幽霊集団やめて、
老人会の慰問グループでも作れば?ぶふっ」
明は、一転した真野のあどけない笑顔に面喰らっている。
十勢に手を差し出されて、その小さな手を借りて立ち上がる明はまだ真野の笑顔に当てられた様にボーッとしていた。
福喜は密かに、この時が来たと騒ぐ気持ちを抑えて平静に、
「真野!!そこのガキと踊りな」
「十勢君と?」
「十勢のパートナーは希和子だよ。その小僧……小僧、名前は?」
「え?…今更?………新翔………ですけど……名前は明」
「こりゃ幸先明(あけ)るい!!」
仙吉がここぞとダジャレを言うが、福喜にギッと睨まれて口をつぐむ。
福喜は務めて冷静に、
「明と踊んだよ」
即座に真野、
「やだよ!!」
「パートナーが決まってないのはお前だけなんだよ!?
ただでさえお前は飛び入り参加の新参者なんだ!!
相手見付けて来ただけでもありがたく思いな!!」
「知らない奴となんて踊らない!!」
「あーそうかい!!だったらこっから出て行きな!!」
真野はグッと一度は引くが、勝ち気そうな表情になると、福喜を睨み付けて立ち上がり、倉庫から出て行こうとする。
その時!!とっさに訳もわからず手が出て真野の腕を掴んだのは、誰あろう明だった。
【2008.6.13 Release】TO BE CONTINUED⇒