<soul-04> 死者の集う世界
明は二階堂の言葉に驚いたように、
「条件!?話違っ」
「簡単なんだ。まず目を閉じて、おおーきく深呼吸して、周りの音に耳を傾けるんだ。
騒がしくなってきたら目を開けて、目を凝らして見えるだけのものを見て下さい。以上!!………一応……言いましたよ?」
と相変わらず最後は誰かに対して話す。
明は戸惑いながら、
「あの………?」
「やるだけやって……みて」
「……はぁ」
と疑心に満ちてはいたが、これも金のためと、とりあえず言う通りにはしてみる事にした。
目を閉じて深呼吸をする明。
「……………?」
首を傾げたのは、何か皺がれた人の声が微かに聞こえた気がしたからで、もしかしたら、ダンスのメンバーが入って来たのかも知れないと明は思った。
しかしその割には、唯一らしい入口の(閂扉)を開ける音がしなかった…等と考えていると、そんな思考もお構いなしに、徐々に、ざわざわと老人の声が聞こえて来る。
それも一人や二人では無い。
「?」
ゆっくり、ゆっくり確かめる様に目を開けると、明の視界はボヤけて見える。
「?………」
目を凝らすと、ボヤけていたのは明の目では無く、目の前の空気の方で、モヤモヤと揺れていたかと思うと、やがてそのモヤモヤが人の形を造って行く。
「!?」
明が我に返って気付いた時には、既に六人の男女の老人と、中年の男女一組、一人の少年がペチャクチャとやかましい位に喋っている姿が見えてしまう。
何が何やらわかっていない明。
「………!?これは…………」
「………」
と申し訳無さそうな表情の二階堂。
明、思わず二階堂に向かい大声で、
「マジックショーかなんかっすか!?」
その明と二階堂の視界の間に一人のやけに姿勢の良い老女が割り込んで来ると、仁王立ちで手を腰に当て、やや反り返りながら
「種も仕掛けもありゃしないよ!!」
「!?」
面喰らっている明などものともせずに、老女は威風堂々と明の目の前まで来ると、両手を大きく広げ、
「ようこそ、死者の集う世界へ!!」
「!?」
【2008.4.28 Release】TO BE CONTINUED⇒