「This Is It」 Blue Piano Man

 先月

 父母が亡くなってから
 一年が立ちました。

 振り返れば、
 昨年は、毎日泣かない日がない

 地獄のような一年でした。

 いい事も悪い事も
 沢山あったのに

 心を失った様に
 ただひたすら泣いていました。

 不思議なもので
 亡くなって一年は、ただただ悲しかったのが、

 一年たつ頃になって、
 やっと寂しくて寂しくて
 しょうがなくなってきました。

 自分の気持ちが
 戻って来たように
 自分の寂しさを見る様になったのです。

 しかし、
 私が特に
 父母と一緒に居たためか、
 恋しさはひとしおで

 いまだに会いたくなる時ばかりです。

 一生会いたいんでしょう

 友人が
 「一生泣いててもいい」
 そう言ってくれて
 助かったと同時に
 泣かない時間が増えても

 思い出せば自然と涙は出てくるのです。

 それが愛情と言うものなのでしょう・・・

 飯坂の坂道を
 むやみやたらに
 日帰り温泉に通って
 気晴らしをしていた

 同じ坂道を、
 ふと通った先日

 あの頃の気持ちより
 少し楽になっている事に
 気が付きました。

 何だかこの世の終わりみたいに
 ずっとぼんやり眺めていた景色が

 また空気が変わって
 多分見ているこちらの気分でしょうが
 ヤケに爽やかに見えました。

 未だにたまに死ぬ事を考えます。

 他人の死自分の死
 両親の死を目の当たりにして

 生きる事は過不足ではない理不尽さと、
 
自然の摂理よりも、

 人間的になった精神的な状態が

 少しずつ又自然と言う息づいている
 柔らかな心がかえって来ている気がします。

 多分昨年の一年は、
 今までで一番泣き暮らしていたにもかかわらず
 自分の人生で一番人間らしかったのでしょう。

 どんな状態でもそれが人間なんです。

 前向きとか進むとかそう言う事とは
 一線を画しているように思います。

 むしろ悲しんだり、落ち込んだり
 そう言ったどうしようもない感情を
 持ち合わせている事を知る事が、

 人を認めたり、自分をどうとらえるか、
 指針となって行くものだと思います。

 世の中で負の感情と言われているものは、
 不確かで人間的で、
 
否定するべきものだけでは無いんです。

 それらに振りまわされてさえ、
 より、人間的に生きたいと切に願うその心こそが
 生きていく糧となるのでしょう。

 人は正しく、間違えずに前だけ向いては生きられない。
 それを認めてから、

 もう一度、眼の前の事を、一つずつ
 手にしていく事も

 長い人生には、
 とても大切なことなのかもしれません。

 前向きが悪いんじゃなく
 間違ってるんじゃなく、

 それだけでは生きられないほど、様々な事や感情が
 人間にはついて回ると言う事と、

 それが愛情と逃れられない死と言うものに
 
対峙した時の、当たり前の感情なのかもしれません。

 自分の作品で、
 「例えそれが執着だとしても、
 その地獄から逃れる術を知らない」

 そう言わせた時、

 それも又死を悼む愛情が執着と捉える、
 達観した意識が救いになると分かっていても、
 愛情と言う執着を、多分人間は、
 本当に愛する人には、否定する術がない様に感じます。

 確かに泣いてばかりはいられません。

 父も母も、
 「いつまでもめそめそしらんな」
 「大丈夫大丈夫」

 そう言って、
 今も励ましてくれている声が自分の中に響きます。

 ただ、それが一年たって、温かな涙が、より、
 「感謝」
 と言う、柔らかさを伴った、

 より温かい涙ならば、段々に死を受け入れて、
 段々に立ち直ろうとしているのだと思います。

 人が星になる様に、
 父母も素粒子が空間に残っている様な気がします。

 そんな想いが、今自分を支えています。

 忘れたくなくて、一生懸命思い出す時も有りますが、
 一生懸命にならなくとも忘れない事も知っています。

 これから、沢山の別れをしていく事が、
 運命づけられているのが、人と言うものならば、

 そして最後には自分と別れなければならないとしても、

 心に光と闇を、
 闇は暗黒では無く、穏やかな安らぎである様にも思います。

 書き物の参考に読んだ本で知りましたが、
 真空は何も無い暗黒では無く、エネルギーの塊だそうです。

 そんな力に満ちた世界、
 宇宙だからこそ生まれて来た人間と言 う生きものならば、

 精神的と現実的、両方を丁度いい塩梅で軌跡も全て、
 空間に満ちているのかもしれません。

 決して、孤独にはならない、そう思えたら、
 寂しくて寂しくてどうしょうもない一夜でも、
 寝てしまえば、又新たな朝が来ます。

 死を迎えるその日まで、それを繰り返せる、
 だから安心して、眠っていいんだと
 眠れない日もたまにはいいんです。
 又次に振替で眠れます。

 お父さんとお母さんの苦労は、
 並々ならぬものがありましたが、

 その中で誰にも負けないくらい
 愛情深く家族を守って来たその事実が、 
 私を又明日に向かわせてくれます。

 そして今日は眠ります。

 ひとぞれぞれ、家族それぞれ、悩みそれぞれ。
 経験もあるでしょう。

 ただ、それに対して、一つ、意識の一つとして、
 この想いや経験が、
 多分私は得る事があったのだと思います。

 考えないのもいい。考える分理解するのもいい。
 捉われて自縛する必要はありませんが、
 気持ちが彷徨う時に、ちょっとした、意見の一つとして、
 こんな想いをした事をお伝えしたいと思いました。

 悲しみと愛情は、同じものなのでしょう。
 それは自分に対してもだと思います。

 だからこそ、誰かや自分を傷付けるより、
 大切にしていきたいのです。

 だってそれは紛れもない愛そのものだからです。

 心に愛は、やはり温かく熱い
 涙に似たもののようです。

  Written by Akio (2014.3.11up)

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