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Story&Illust by 森晶緒
“Star-Filled Sky” by 佑樹のMusic-Room
Site arranged by 葉羽

<Dream-25> 決意

 しかし美頬は続ける。

「だけどこうも言ったわ。『助けて』って……
 あれは本心からの言葉だったもの」

 真っ直ぐ前方の日の出の方を、目を絞って見ながら話していた美頬はふいに瞬間、いたずらっぽくニヤリとして実多果を見下ろすと

「言っとくけどこの能力内緒よ?あたしの秘密」

 鼻をすすりながら実多果は

「あたし………まだ………あいつの顔、思い出せないの…
 ヒッ………んぐっ……顔と名前が……ズズっ………
 もし、ヒッグ……魂が………あったら………ズっ……
 あの人は許してくれない?ヒッヒッ………ングッ、
 助けられなかったあたしを責めてる?」

 実多果の不安に、しかし美頬はやけにキッパリと

「違うわよ」

 美頬を見上げて、まだ涙が込み上げ目をしばたたかせる実多果に、美頬は

「あんたはあんたを受け入れた。
 だからあたしもこんな能力使ったの話したのよ。
 あんた自身の記憶が…段階を踏んでんの。
 あんたが立ち直るまでって」

 その言葉に実多果は呆然としながらも、ある考えが涙の実多果に込み上げる。

「だったらあだし……思い出したら会いに行く!!」

 急にハッキリとした実多果の強い宣言に驚く美頬。

「あの彼の、家の人に……家族に……
 あたしが見た……最期の事実を伝えなきゃ………」

 その実多果の言葉に、美頬は驚きを隠せずに、ハッとした表情を見せる。

「………やっぱり………そう言うもんなのかしらねぇ…………」

 歯を食いしばり、決意を胸に涙を浮かべている実多果の目の前に川は流れ、流れ自体は怖くて見れなくとも、朝日の方を救いのようにしっかり向こうと実多果はする。

 美頬は思い入れがあるかのように呟く。

「事実………」

 美頬は欄干に背を向けて寄りかかると、周りの川沿いに植え込まれながらも、大きく育った木々の梢の葉の輝きと揺らめきに、都会とは言え緑多い景色を眺めながら、ふと実多果に話しかける。

「………例えばさ」

 実多果は朝日にジッと顔を向けながら、美頬の言葉に耳を傾けている。

「あんたがあたし位の歳になって……又ここを通るとするじゃない?」

 川の流れが朝日に光り、海をも思い出させる程美しく煌めいている。

 朝焼けの全部のオレンジから、落ち着いた青に色を変えた空を茫漠と眺め美頬は

「多分まだここはここだったとしてさ…
 約束は無いけど、こうやって川があって空があって」

 川べりの木々や草花も、影と光を風で振りまきながら輝いている。

「緑があって……そこを又あんたが通るの……
 十何年後のあんたは、ここをどんな風に通るのかしらね」

 川沿いの風景の俯瞰が、美頬の胸にも、そして実多果の胸にも去来する。

【2020.7.18 Release】TO BE CONTINUED⇒

 

 

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