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Story&Illust by 森晶緒
“Star-Filled Sky” by 佑樹のMusic-Room
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<Dream-11> 気ままな独り暮らし

 が、杉本の態度も何のその、橘はこの際と尚も言いつのる。

「何より、あの『陰気美人』?さがミステリアス?
 誰ともつるまないし、お局って程も他と関わらないし。
 ちょっと話してみたくって……分かりません?
 ニュアンス出てますよね?」

 共感を求める橘に、賛同する気は更々無いのと美頬への嫌悪感もあいまって、呆れた様子で杉本は大きく溜息をついた。

 杉本は……何がそうさせるのかは誰にも知られていなかったが、美頬の話題になると、普段の彼からはらしくなく冷淡だった。

 今回も何のためらいも見せずに、橘の提案にも冷たく言い放す。

「なら、お前一人で勝手に誘え。俺抜きにしろ。
 何があろうと、俺はあいつと食事なんてまっぴらだ」

 冷たい表情で、そのまま部屋を出て行きそうになる杉本に向かい、橘は慌てて

「!?そんなー!ただ言ってみただけですってえ……?
 杉本先輩何でそんなに平さんの事?毛嫌いしてんすか?
 何かありました?」

 入口のドア枠の所で立ち止まると、瞬間杉本はギクリとした動揺を、表情にも様子にも微塵も現わさずにポーカーフェイスで

「何も無いさ。あいつはただの偏屈だ。
 淡い妄想して期待するだけ損だぞ」

 そう言い捨てると、スタスタと外に向かって部屋を出て行ってしまう。

 慌てて情けない声をだしながら、杉本の後を追う橘。

「待って下さいヨ~」

 少しは杉本達のやり取りが聞こえてはいたが、まるで興味を示さず、我関せずと菓子パンを黙々と食べて、ストローで野菜ジュースを美頬は飲んでいる。

 その日の会社帰り、美頬はいつもの様にコンビニで軽い夕飯を買い入れ、ビニールの買い物袋を提げて帰宅した。

 普段の美頬の食事は、もっぱら手軽さと節約も兼ねてコンビニ食が主だが、一人暮らしの気安さで、咎める者が居ないのは楽な生活スタイルだった。

 休日は流石に近所のスーパーに出向いて、一週間分程度に食料や日用品など、エコバックも使い買い込んではいたが、あくまで捕食の範囲の買い物であったし、それ以上は買っても作る機会もないため、無駄遣いする気には慣れていない。

 いくら面倒でも、外食は節約のために極力避けていたため、一人でレストランに入る事など1年に1度あるかないかで、その分この立地のいいマンションに住める事もありはしたが、どの道、かと言って誰かと食事の機会など更に無い。

 せいぜい会社の忘新年会に出るのがせきのやまで(歓送迎会は無断でパスしていたため、部内でも美頬の欠席だけは既に黙認されていた)、本当に何か外で食事したいと例え思ったとしても、まず店の見当もつかないし、そうなる様に自分で選んでしむけて来た感があった。

 なので家で一人のコンビニ食夕飯など、美頬には当たり前の選択…と言うより、それしか無いため、苦痛も寂しさも覚える事は無い。

 そこで一々感傷に浸る人間であれば、その生活からもとっくに抜け出していたのだろうが………。

【2020.3.28 Release】TO BE CONTINUED⇒

 

 

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