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「わいわいタイム」(音楽の卵)
by 岸波(葉羽)【配信2021.2.1】
 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 世紀の大決戦!!
 最高のフェスティバル!!

 前回の予告通り、今度は僕のcinemaアラカルト。再開一回目は大泉洋主演の「新解釈・三國志」です。

 でもねぇ・・ケイコと観に行く前から"悪い予感"はしてたんですよ(笑)

 だって監督・脚本があの福田雄一氏でしょ。

新解釈・三國志

(C)2020「新解釈・三國志」製作委員会

 ところが驚くべきことにこの作品、香港・台湾・韓国でも上映されることが決まっていたんですね・・普通は日本で好評を得てからなのに。

 そのことを聞いた主演の大泉洋は「だいじょぶですか!?」と。

 ムロツヨシは「『新解釈』を抜いて『三国志』だけで海外の方とお話してないですよね?」と訝ることしきり。

「今からでも字幕のセリフ直しといたほうがいいんじゃないですか、カッコいいやつに・・全集中!とか言っておきますか?」(ムロ)

 ともあれ、さっそく行ってみましょう。

 映画の冒頭、歴史学者の蘇我宗光(西田敏行)が登場し、三国時代について新解釈の自説を発表する。

 この映画自体、監督の福田雄一脚本による独自解釈のストーリーですが、映画の中ではこの蘇我宗光の新解釈をイメージとして映像化するという手法がとられています。

新解釈・三國志

(C)2020「新解釈・三國志」製作委員会

 例えば、劉備(大泉洋)の紹介では、戦が根っから嫌いだが酒を飲むと気が大きくなり「この戦乱の世を収めて民が幸せに暮らせる世の中を作る」などと、うっかり大言壮語を吐いてしまった・・という調子。

 有名な『桃園の誓い』の下りでは、何故か桜の下で誓いを交わすことになり、劉備が「酒の上で言ったことだしよく覚えてない。だけど、できれば桃の下でやろうよ」とまあ、いつもの福田節でしょうか。

新解釈・三國志

(C)2020「新解釈・三國志」製作委員会

 この福田監督の作品、「宇宙の仕事」や「銀魂」くらいしか観ていないですが、ムロツヨシや佐藤二朗と組むことが多く、今回もそれぞれ諸葛孔明に董卓という重要な配役で起用しています。

ムロツヨシはこの作品で福田映画が15本目です。

 この二人、個性が強烈過ぎて、どんな役をやってもいつもの芝居。

 最初「銀魂」を観たときは全然役作りをしないで、素のままストーリーと関係ない冗談を言って自分でウケるのが斬新で大笑いしましたが、「別にお金を払って劇場に足を運ぶようなものじゃないな」と我に返りました(笑)

 ストーリーは劉備・関羽・張飛の「桃園の誓い」から、曹操・孫権・劉備が相まみえる「赤壁の戦い」までをずっと悪ふざけで描いています。

新解釈・三國志

(C)2020「新解釈・三國志」製作委員会

 でも刮目すべきは超豪華な俳優陣。大泉洋・ムロツヨシ・佐藤二朗・西田敏行のほか曹操が小栗旬、周瑜が賀来賢人、趙雲が岩田剛典、呂布が城田優、貂蝉が渡辺直美と広瀬すずのダブルキャスティングで、主題歌「革命」を歌うのが福山雅治などなど。

 どうしてこんなメンバーが揃うのか・・福田監督の人徳なのかギャラなのか(笑)

 そう言えば「銀魂」にもこういう人たちが出演していました。みんな好きなんでしょうね、こういうのが。

 で、こんなメンバーですからビジュアル的にはとてもカッコいい訳です。

 例えば、無駄にカッコいい呂布(城田優)・・

 呂布(城田優)

 何故かいつもポーズを取っている趙雲(岩田剛典)・・

 趙雲(岩田剛典)

 曹操(小栗旬)と夏候惇(阿部進之助)・・

 曹操(小栗)と夏候惇(阿部)

 周瑜(賀来賢人)と孫権(岡田健史)・・

 周瑜(賀来)と孫権(岡田)

 ウケたのは、絶世の美女貂蝉(広瀬すず)が一瞬登場したと思ったら、解説の蘇我宗光(西田敏行)が「時代考証的には多分こんな人」ということで渡辺直美に早変わりし"歌って踊れる時代考証的美女"と紹介されるところ。

 劉備(大泉洋)は、親を董卓(佐藤二朗)に殺された貂蝉(渡辺直美)が色仕掛けで董卓と呂布(岩田剛典)を仲違いさせる計略を『三角関の計』と。(そのまんまや!)

新解釈・三國志

(C)2020「新解釈・三國志」製作委員会

 貂蝉はいつもの渡辺直美そのままに、二人の前でキレッキレのダンスで誘惑する。さすがに直美ちゃんは上手だなぁ・・。

 この「素のまま」というのが福田監督の特徴でありポリシーでもあるようで、初共作となる主演の大泉洋には、"役作りをさせないため"クランクインの直前まで台本を渡さなかった・・そんなにもっ!

 福田監督の大泉に対する入れ込みは相当なもので「劉備を大泉がやらなければこの映画を撮影する必要が無い」と断言し、忙しい大泉のスケジュールを調整するのに三年もかけたとか。

 これに対し、当の大泉洋は「本来なら大変喜ぶべきところだが、この劉備はあまりカッコよくなく、できれば『キングダム』に出演したかったが役が無かった」と(笑)

 まあ、ボヤキながらも楽しく演じていたので、本人的には満足だったのでしょうが。

新解釈・三國志

(C)2020「新解釈・三國志」製作委員会

 で、結局この映画どうだったかという事ですが、昨年12月11日封切りで年明け1月5日現在まで興行収入30億円突破ということで、そこそこのヒット。

 時代ですかね・・こういう悪ふざけがウケるというのは。上品なウィットとかエスプリの効いた笑いに馴染んだ僕らの世代は付いて行けなそう。

「大泉洋を100億の男に!」(←鬼滅のノリかよ!)などというスローガンも出ているので、もっと伸びるかもしれませんが。う~むぅ・・。

 

/// end of the “cinemaアラカルト236「新解釈・三國志”///

 

(追伸)

岸波

 今回からこのcinemaアラカルトは、あまりストーリーを追わないようにして感想や裏話を中心に短いバージョンとします。

 この「福田組」の撮影現場は「面白ければセリフを間違えてもNGが出ない」というゆるい現場なのだそう。

 役者陣も「観客と言うより福田監督が笑ってくれればそれでいい」という自然体。時代は変わりましたね・・隔世の感があります。

 

 では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See you again !

メイキングNGシーン「新解釈・三國志」

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To be continued⇒  “cinemaアラカルト237” coming soon!

 

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