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「Blue Island」(TAM Music Factory)

by 岸波(葉羽)【配信2013.8.16

 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 彼(ビル)に撮られることこそが、
 ニューヨーカーのステータス!

 カリスマ彰が自身のコーナー「ファッションの達人!」に、『ビル・カニンガム&NY』の記事をアップしました。

 『ヘルター・スケルター』、『かもめ食堂』に続く第三弾として、こちら“cinemaアラカルト”でも採り上げたいと思います。

ビル・カニンガム&ニューヨーク

(C)First Thought Films

 ストリートファッション・スナップの元祖と呼ばれるビル・カニンガムは、ニューヨーク・タイムズ紙で長年ファッション・コラム『ON THE STREET』を連載してきたファッション写真家。

 映画のキャッチ・コピーのとおり、街角で彼に撮られることはニューヨーカーにとっての誇りなのだそうです。

 映画には彼自身が登場し、その仕事ぶりはもちろん普段知られることのなかった彼の私生活も含めて、2年間に渡って密着取材した成果が公開されました。

 以下に貼った“7つのエンブレム”は、この『ビル・カニンガム&ニューヨーク』が受賞した映画賞の数々。

 それでは、カリスマ彰にお願いしたいと思います。

 

(カリスマ彰)

 映画「ビル・カニンガム&NY」を遅ればせながらDVDで観た。

 82歳のビル・ガニンガムが、昼は自転車でニューヨークの街をストリート・スナップし、夜はパーティでセレブ・ファッションを撮り続けるのを追ったドキュメンタリーだ。

ビル・カニンガム&ニューヨーク

(C)First Thought Films

 カーネギーホールの屋根裏部屋に住んでいるビルだが、立ち退きの刻限も迫っていて、何かと慌しい。

 このファッションに憑りつかれたお爺さんには、物欲や金銭欲というものがまるでない。ついでに映画ではちょっとボヤけさせているが性欲というのもないようだ。こりゃ、ファッション仙人だな。

 そもそも、NYタイムズのストリート・スナップとパーティページだけで暮らしていけるものなのか。暮らしぶりは実に質素だ。

ビル・カニンガム&ニューヨーク

(C)First Thought Films

 パーティに行っても、そのパーティで水一杯でも飲んだら、「公正さがなくなってしまう」と、パーティ前にしっかり質素な夕食を済ませている(どっかのパーティ記者にビルの爪のアカでも煎じて飲ませたいものである)。

 たぶん、ファッション・ジャーナリズムというのは、こうしたファッション仙人でなくては貫けない時代なのかもしれない。

 このビルがフランスオートクチュール・プレタポルテ連合協会会長のディディエ・グランバックからレジオン・ドヌール勲章を授けられるシーンもあるが、いつものゴミ清掃員みたいな青い上っぱりをちょっとフォーマルに着こなしているのが本当にオシャレである。

ビル・カニンガム&ニューヨーク

(C)First Thought Films

 グランバックの「皆さん、シュバリエを通り越して、一気にオフィシエの受賞ですよ」というスピーチが本当に軽薄に響く。本音を言えば、こんな勲章なんて辞退して欲しかったけれど。

 この映画では、ビルとWWD-NYの決別の話が出て来る。ビルのストリート・スナップを、WWD-NYが勝手にIN&OUTに編集したことにビルが憤慨して、絶縁に及んだエピソードだ。

 まあ、それをIN&OUTに編集してスノッブに笑いのめすのがWWD魂というもので、これはもう30年も日本版に携わっている私にとっては、当然の作業に思える。

ビル・カニンガム&ニューヨーク

(C)First Thought Films

 ファッションにはただ「センスがあるかどうか」というファッション仙人と衝突するのは当然と言えば当然の成り行きで実に興味深かった。

 まあ、WWDに居てはファッション仙人なんてなれませんが。

 

/// end of the “cinemaアラカルト150 「ビル・カニンガム&ニューヨーク」”///

 

(追伸)

岸波

 今回の記事はかなり短いので、ここで終わってしまっては単なる“移植”。

 オフィシャル・サイトにあった『ビル・カニンガム語録』がとても素晴しい内容なので、併せて以下にご紹介いたしましょう。












 さすが達人の言うことは違います。

 いずれも素晴しいのですが、僕の一番のお気に入りは“大女優を撮らない 大バカと言われようが、撮るかどうかは ファッション次第だ”…うん、これです。

 被写体のブランドやステータスは関係ないのです。

 いま、そこにあるファッションが輝いていれば撮る価値がある。

 自分の自由な感性を何よりも大切に、それが写真家としての矜持だと言わんばかりに。

 ぐっと来るなぁ…。

 

 では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See you again !

ビル・カニンガム&ニューヨーク

(C)First Thought Films

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To be continued⇒  “cinemaアラカルト151” coming soon!

 

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