<<INDEX | <PREVNEXT>



  幸福(しあわせ)  by 真魚

 幸福という名のもとに暮らす一組の夫婦
 暖かな日差しの中
 夫は妻に自らの過ち(浮気)を告白する

 何事もなかったかのように微笑む妻
 しかし、彼女がその後にとった行動とは…

 女流監督なればこそ
 残酷なまでの洞察力が光る珠玉の作品

 

◆幸福(しあわせ)(1966年/フランス映画)
 監督・脚本: アニエス・ヴァルダ
 
出演:ジャン・クロード・ドルオー/ クレール・ドルオー/ マリー・フランス・ボワイエ

 大輪のひまわりと、その畑を往く夫婦に二人の幼な子のぼんやりした人影が交錯する印象的なタイトルが終ると、モーツァルトの明るい調べに乗ってピクニックに興ずる親子の姿が写し出され、誰もが題名の“幸福”をそこに実感する。舞台が彼ら夫婦の叔母の家に転ずると、ピクニックから戻った夫婦が何気なく目にするのは、ブラウン管の中の映画「草の上の昼食」。本作自体が巨匠ルノワールの名作「ピクニック」のオマージュであるが、そんなさり気ない形でも巨匠に敬意を表することを忘れぬヴァルダだ。いわゆる〈シネマ・ヴェリテ〉的手法を駆使しながらも、より伝統的な形態を取った本作の主張はシンプルに見えて相当複雑だ。


Poem by Mao
BGM by Blue Piano Man "alone”
Photo:「幸福」
Site Arranged by Habane

 

真魚詩集
Copyright(C) Mao&Habane. All Rights Reserved.