<Prev | Next>
「windblue」 by MIDIBOX


中池袋公園から今回の舞台になったとしま区民センター(中央)を望む。その右はアニメイトビル、その左はBrilliaホール(豊島区立芸術文化劇場、主にミュージカル上演対応の劇場だが私は行ったことはない)で3階でとしま区民センターとつながっている。

 このあたりは「ハンザ」というエリアで2020年以来池袋の「サブカル」の新しい顔になっている。

 Brillaホールの左には、写真では見えないがTOHOシネマがメインテナントのハンザタワー(Brilliaホールとつながっている)が聳えている。超高層ビルの上階はオフィス棟になっている。

 1月16日(金曜日)、午前中に広尾病院で定期健診後、ご褒美というわけではないが「すしみさき 広尾店」でプレミアムランチ握り(2600円)を食べた。

 9月4日の三叉神経痛の手術後1カ月ほどしてから、痛みの軽減(完全に無くなったわけではない)のためテグレトールという顔面神経痛対応の痛み止めの薬(癲癇発作対応薬でもある)の服用を止めたせいなのか、問題化していた肝機能数値のガンマGTが前回(10月)の120から35に急減したのだ。

 これには驚いた。というか、どんだけ凄い「劇薬」を20年以上飲み続けたのかと驚いた。私の肝臓、腎臓は大丈夫だろうか。

 

 それはともかく、寿司を食べながら、せっかく都心に出て来たので、映画かコンサートでもないかと探したら、池袋のとしま区民センター小ホール(定員160人)で「ニューイヤー名曲コンサート」(全席1500円)というのを14時40分からやっていたので地下鉄を乗り継いで(山手線が停電でほぼ終日不通)来てみた。

 及川音楽事務所に所属するミュージシャンによるコンサートだ。ヴァイオリン(竹前景子)、ピアノ(御園生瞳)、アルトサックス(小林あいり) による有名なゲーゼの「タンゴ・ジェラシー(嫉妬)」、ピアソラの「リベル・タンゴ」のタンゴ2曲とフォスターの名曲集。

 Wikipediaでスティーブン・コリンズ・フォスター(1826.7.4~1864.1.13)のわずか37年の人生を読んだらあまりに悲惨で泣けてきた。数々の楽し気で夢見がちの名曲の陰にこんな人生があったなんて!

 この3人は前座みたいなもので、メインは瀬戸章子というピアニストのプロコフィエフのピアノ・ソナタ第6番(第6番、第7番、第8番の3曲は「戦争ソナタ」と呼ばれている)。

  瀬戸章子

 第6番は30分ほどの曲だが、超難曲として知られていてテクニックとパワー自慢の主にロシア人男性ピアニスト(リヒテル、ブロンフマン、キーシン、ポゴレリチなど)がよく弾く曲で、としま区民センターで無名の中年女性ピアニストが弾く曲ではない。

 実はその取り合わせの違和感に惹かれてこの会場まで来た。

  瀬戸章子は、武蔵野音大卒業後に同音大特修科を終了後、全日本ピアノ指導者協会に所属しピアノ教師をしながら演奏活動をしているようだ。失礼ながら、華々しいコンクール入賞歴もないし、長期の海外留学もなく、容姿も「普通」の女性で、なんというかいわゆる「オーラ」がないのだ。

  瀬戸章子

 そうは言っても昨年はCD(ショパンの24の前奏曲ほか)も発売している。音大を卒業した音楽家の就職は本当に困難を極めているようである。10年に1人の天才は別にして、恐らく演奏家として生計を立てている卒業生は1%もいないのではないか。ましてやピアノ科の卒業生などはオーケストラでの就職が殆どないわけで、これは子供相手のピアノの先生かホテルのサロン演奏家が行き着く就職先だ。

 少子化とクラシック音楽市場の縮小が言われている中で音楽を志す者たちはどうなっていくのだろう。実際音楽大学の大幅な定員割れが大問題化している。そんなことを考えながら瀬戸章子のプロコフィエフを聞いた。

 客は暇そうな老人や4人の演奏家の知人と思われる者が50人ほど。定員は160人だから、これでは会場代も出ないのではないか。本当にいろいろ心配になってくる。

  しかし瀬戸の演奏はなかなか本格的だった。ショパンでも弾けばいいだろうに、こともあろうにプロコフィエフの6番というところになんか彼女の意地を感じるのだ。破綻のない立派な演奏だが、なんかもうひとつ足りない。

 ピアノはYAMAHA。音の粒立ちが今一つなのだ。リヒテルとかキーシンと比較しての話だけども。

 弾き終わった瀬戸が、「最後の音の連打のところは、VICTORY(勝利)のモールス信号を表しているそうです」。なるほど、そうだったのか!なかなか考えることや得ることが多いコンサートだった。

 コンサート終了は16時。まだ外は明るかったが、池袋の夜の誘惑が怖い(笑)。

(20260.1.30「岸波通信」配信 by 三浦彰 &葉羽

PAGE TOP


  banner  Copyright(C) Miura Akira&Habane. All Rights Reserved.