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「フランク三浦」を類似の文字商標として訴えた「フランク・ミュラー」に対して、知財高裁は「『三浦』が日本人を連想させることや、『フランク・ミュラー』の時計の多くが100万円を超えるのに『フランク三浦』は4000~6000円であることから混同は考えられない」として訴えを却下した。

 しかしこれは裁判の第1弾であって、文字商標問題はクリアしたものの、形状を含めたトータルな類似性を主張する「不正競争防止法」で「フランク・ミュラー」側が争えばこれはまた全く違う結果になる可能性はありそうだ。

 「ニセ物が出て来ることは、その魅力が評価されたことだ」と言ったのはココ・シャネルだが、これはのどかな古き良き時代の話であって、とても現代には通用しない。

 例えば、日本では「ランナウェイ」などのミリオンセラーで知られる顔を真っ黒にした7人組が、ある日突然グループ名をCHANELSからSHANELSに変え、そしてついにはRATS&STARに変えたことがあった。

 これにはラグジュアリー・ブランドの「シャネル」からの抗議があったというのがファッション業界の常識だ。どのブランドも自分たちのプレステージと高いイメージに誇りを持っていることから、ささいなことが気になるのである。

 今回の「フランク三浦」も喉に刺さった小骨に過ぎないのだが、当のブランドにとっては、特にそうした知的財産権を管理する部署にいるスタッフにとっては、まさに死活問題なのである。

 「俺も明日からペンネームを『フランク三浦』にしてみようか」などという発言は、私としては絶対に言ってはいけないジョークなのである(笑)。

 しかし、大らかな例外というのはある。例えば「グッチ裕三」。誰もこの芸名を不思議がらないのが、ファッション業界に生きる私としては大いに不思議だ。

 日本の「グッチ」関係者からも不快感というのを聞いたことがない。もちろん「グッチ」がイベントのMCに起用なんていう悪ノリはないようだ。

 グッチ裕三の本名は高田裕三。これではレスリングの選手みたいで売れるわけはない。

 ちょっとネット情報になるが、「グッチ裕三」の由来には2説あり、①「愚痴言うぞ」がグッチ裕三に変化。②高田裕三と暁星高校時代の親友のスリム冬樹(本名:武東裕男)が2人ともバイク好きなので、イタリアのオートバイメーカーの「モトグッチ」を分割して、モト冬樹とグッチ裕三になった説。この②説がかなり有力だという。

 このグッチ裕三氏にはタレント・歌手の他に料理愛好家という肩書きもあり、多数出版されている料理本の印税で十分暮らせるというからスゴイ。

 また1996年からNHK教育の「ハッチポッチステーション」に出演していたころには、日本のTV放送史において最高視聴率を獲得した子供番組になり、世界50ヵ国で放送されたというから、すでに芸人というよりも文化人化してしまった人物なのだ。これではなかなか訴えられないだろう。

 グッチ裕三の例があるのだから、フランク三浦とかプラダ斎藤などという芸名も許されるだろうとくれぐれも思わないでいただきたい。

                

(2016.7.3「岸波通信」配信 by 葉羽&三浦彰)

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