帰 郷 (詩:葉羽) ~大和伸一写真館 “記憶の中の風景”より~
里山の山裾には 碧の風が吹き渡り 牧草を刈る車が ゆらゆらと動いている
ああ そうだ この小さな木橋を渡れば 昔 僕たちの通った 思い出の学び舎
蓮華草の花壇を抜ければ いつも二人して 語らった場所 ああ それなのに 陽だまりには 誰もいないベンチ・・
身体の動かぬ 病院のベッドで 君を見つけられない 記憶の中だけの帰郷
遠い日の ヒメジオンの花だけが 静かに揺れていた