コロッケ (詩:葉羽)
母さんが まだ若い頃
いつも私に 言い聞かせてた
旦那は料理で 捕まえるのよ
女は 料理上手が一番さ
そんな母さん 得意料理はコロッケ
私はある日 そのことを思い出し
母さんのコロッケ 作ってみた
でも あの味にはかなわない
結婚して 子供が出来て
子供たちは コロッケのとりこ
実家の帰りがけ いつも渡してくれた
今日はもう帰りな 子供たちが待ってるよ
ラーラーララー ラーラーララー
ラブユーフォーエバー 貴方は大切な母さん
あれから 二十年の時が流れ
子供たちは 家を出て行った
そんなある日 母さんからの電話
すぐ来て頂戴 どうしていいか分からない
母さんは 台所に立ち尽くし
大粒の涙を ボロボロこぼしてた
ねえ私 どうしちゃったの
これは どうすればコロッケになるの
ラーラーララー ラーラーララー
ラブユーフォーエバー 貴方は大切な母さん
それは 認知症の始まり
私は母さんと一緒に暮らすことにした
でもある日 母さんは言った
ねえアナタはどなた 私お家に帰らなくちゃ
母の病状は ますます進み
私に暴力を振るうようになった
私は泣きながら 言い返した
もういいわ母さん 私と一緒に死んで頂戴
ラーラーララー ラーラーララー
ラブユーフォーエバー 貴方は大切な母さん
あれから二年 母は病を得て病院へ
乱暴な事は しなくなったけれど
良くなったのでない事も分かってた
蝋燭の火のように 命は弱ってた
真夜中の電話で 病院へ駆けつける
どうせ 私の顔は分からないけれど
ところが いまわの際にあった彼女は
私の目を見つめ 確かにこう言ったのだ
「今日はもう帰りな 子供たちが待ってるよ」
ラーラーララー ラーラーララー
ラブユーフォーエバー 貴方は大切な母さん
ラーラーララー ラーラーララー
ラブユーフォーエバー 最後まで私の母さん
お葬式を終えて 貴方の亡骸と共に
満開の花見山の下を 斎場へと向かう
母さん よかったね
今日は 二人最後のお花見だよ
今年の花見山は あんなに穏やかで綺麗
ラーラーララー ラーラーララー
ラブユーフォーエバー 貴方は大切な母さん
ラーラーララー ラーラーララー
ラブユーフォーエバー たった一人の母さん |