その290
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  雨の記憶 (詩:葉羽)

 庭に雨が降り注ぐと
 六月の匂いが立ち上る

 それはまるで
 土の底に眠っていた記憶が
 そっと息を吹き返すように

「雨が上がったら お前も草抜きを手伝えよ」
 遠い日の母が言う
「スポスポ抜けて 気持ちいいぞ」
 結局、遊び惚けて手伝いはしなかった

 でも、あれから幾年月
 母の居ない雨上がりの庭で
 草を抜いている自分が居る

 あの日と同じ
 紫陽花の薄い蒼が
 雨を飲んで深くなる
 その色に胸の奥が静かに震える

Poem by 葉羽
 MP3 by Music Material “アクアリウム”
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   Photo by Habane ”雨の庭”

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