その111
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  先祖供養 (詩:葉羽)

 友人のArupに誘われてGAYAの寺院へ
 祖霊の供養と家族の未来を祈る儀式に参列する

 どうしてもお前をここに連れて来たかったんだ
 ふいにArupが言う
 どうして?
  …俺は問いかける

 三年前、お前に初めて出会った時
 お前はカミサンを亡くして
 面影を探しに来たと言った
 俺たちが巡り合えたのは
 きっとそのカミサンが導いてくれたんだよ

 あれからずっと
 俺はお前を家族だと思っている
 この寺は特別な場所
 家族であるお前のために祈りたいんだ

 あの日Arupは
 初対面の俺の話を聞いて泣いてくれた
 そして今日は
 俺がArupの話を聞いて泣かされている

 三年前
 本当はチベットに行こうと思っていた
 そこは黄泉に一番近い場所
 きっと美恵子に会えると思っていたんだ

 しかし
 天候不順でフライトできずに断念した
 止む無くバラナシに立ち寄り
 ガンガーを眺めているとArupがやって来た

 三年前
 俺は欠け換えのない者を失った
 しかし
 欠け換えのない友に出会うことができた

 人生流転
 ガンガーの泡沫(うたかた)のように流されていく
 されど人生
 出会いと別離は あざなう糸の如し

 Arupが大空を指さす
 ほら、美恵子さんがあそこに来ているぞ

 俺は大空を見上げる
 そこには何も見えなかったが
 Arupの心遣いに
 込み上げる嗚咽が抑えられない…

 明日はDelhiから成田へ
 また会おう さらば友よ…

Poem by 葉羽
 MP3 by 音楽の卵 “運命のワルツ”
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   Photo by 大和伸一"先祖供養”より

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