その106
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  ガンガーの眺め (詩:葉羽)

 友人の案内でガンガーのほとりを散策
 岸辺の火葬場では
 今日も誰かが煙になって行く

 人々の表情は驚くほど
 あっけらかんとしている

 数千年も繰り返されてきた
 当たり前の日常のように

 気配に振り替えるヤギが
 カメラ目線でお愛想する

 どうやらオレって
 ヤギさんにも好かれてるみたい

 濛々とした炎で景色が煙る
 牛の姿も煙る
 ガンガーも煙る

 たまには舟に乗りながら話をしようか
 ということでガンガーへ漕ぎ出す

 漕ぎ手は友人の仲間
 このあたりを仕切っている人らしい

 賃料はサービスだと言われたが
 そっとチップを渡す

 波もなく穏やかに滑るような舟旅
 思わず時を忘れる

 やがて陽が落ち
 岸辺ではプージャ(礼拝)が始まる

 ここでは毎日がお祭り
 死と向き合い
 魂と向き合う日常

 今までの人生のこと…
 これからの人生のこと…

 二人の話題が尽きないのは
 ガンガーの景色のせいなのか

 友人に言わせれば
 ペラペラ喋るボートマンは
 信用できないらしい

 この時のボートマンも
 友人から質問がない限り
 ひたすら無言の男

 まあ
 そういう話をいつも聞いてる
 せいかもしれないが(笑)

 水面に灯りが映って
 混濁した流れが美しく見えている

 夜のとばりは
 優しくすべてを覆い隠し
 心に安穏を運んでくるようだ

Poem by 葉羽
 MP3 by 音楽の卵 “ふわふわの素”
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   Photo by 大和伸一"ガンガーの眺め”より

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