<Back | Next>
「AUTUMN」(Music Material)
by 岸波(葉羽)【配信2021.3.15】
 

◆この記事は作品のストーリーについて触れています。作品を実際に楽しむ前にストーリーを知りたくない方は閲覧をお控えください。

 こんにちは。気付けば人生の傍らには必ず映画があった岸波です。

 次の対戦相手
 織田信長ってマジ?

 第241回で「家庭でのビデオ鑑賞作品も対象にする」と宣言したばかりですが、昨夜、ケイコと二人で新田真剣佑の単独初主演映画『ブレイブ 群青戦記』を観て参りました。

 久しぶりの劇場鑑賞、僕は『シン・エヴァ』を主張したのですが、ケイコの「どうせまたグダグダの終わり方で完結しないんでしょ」とのもっともな主張に敗北し、こちらを観ることに。

 ということで、「何やらタイムスリップものらしい」こと以外全く分からない事前情報ナシの鑑賞でございます。

 しかあしっ!!

ブレイブ 群青戦記

(C)2021「ブレイブ 群青戦記」製作委員会 (C)笠原真樹/集英社

 イオンシネマ福島のポスターから飛び込んでまいりましたこのキャッチコピー・・・『次の対戦相手 織田信長ってマジ?』ってマジ!!?

 そういう話であるならば、真剣佑君ら主人公側は最後でぼろ負けするバッドエンディング作品?

 いやぁ、久方ぶりに劇場まで足を運んだのに、後味の悪い映画はヤだなぁと思いつつ着席。

 さて、その実態や如何に?

ということで僕のcinemaアラカルト、もういっちょー!

 映画の冒頭、何やら学校らしき建物。異様なのはその校舎の中央部に鎮座する巨大な霊石。これは一年前の風景らしい。

 その校舎の屋上には一人の男子生徒。空は怪しげな雲に覆われ、時折、稲妻が走る。ひときわ大きな稲妻が霊石に落ちようとする刹那、彼は屋上から霊石に向かってダイビング。すわ"自殺"か!?

ブレイブ 群青戦記

(C)2021「ブレイブ 群青戦記」製作委員会 (C)笠原真樹/集英社

 で、場面が転換して一年後。放課後の部活に生徒たちがいそしんでいる。弓道着を纏う真剣佑君の姿も。

 突如、一年前のように空がかき曇り、またもや巨大な落雷が。霧が晴れてくるとビルが見えていた周囲の景色が一変。

 そこへ襲ってくるゾンビのような姿の雑兵軍団が。ええ~!

 一瞬、「これは新しい!」と考えてしまいました。戦国武者たちが逆タイムスリップして現代の学校に攻め込んで来たと思ったからです。

 『戦国自衛隊』ではヘリや装甲車ごと過去へ跳びました。『ジパング』ではイージス艦みらいごと跳びました。ビルの建物ごと時空を彷徨ったのが『スプライト』。でも今回は「向こうから」来てる?

 その誤解はすぐに解消されます。そこに新たに現れた騎馬軍団。彼らは織田信長の家臣で、黒面で顔を隠した簗田政綱(渡邊圭祐)の一党。

 つまり、学校を含む敷地一帯が戦国時代へタイムスリップしたのです。

ブレイブ 群青戦記

(C)2021「ブレイブ 群青戦記」製作委員会 (C)笠原真樹/集英社

 簗田軍は生徒たちの中から5人を人質として連れ去り、やがて別の騎馬隊が現れる。これが松平元康の軍勢・・つまり後の徳川家康(三浦春馬)。

 彼らは(彼らから見れば)妖しい人相風体をしている生徒たちを体育館に隔離して、自らの「大高城への兵糧入れ作戦」の策を練る。

 歴史オタクであった主人公の蒼(新田真剣佑)は、「自分たちは、信長=今川の桶狭間の戦い直前の時代にタイムスリップしたらしい」と皆に説明し、生徒たちのリーダー格、剣道部主将の考太(鈴木伸之)は、元康の作戦に協力する形で、自分たちが連れ去られた生徒たちの奪還を陽動作戦として行う取引きを提案する。

 図らずも生徒たちは、負け戦となる今川方に協力し、織田軍と戦う羽目になるのです。(いや、まずいだろソレ?)

 この映画の原作は笠原真樹が『週刊ヤングジャンプ』に2017年29号まで連載していた『群青戦記』。

今年、別の作画家を迎えた『真・群青戦記』第二部が開始されている。

 「戦国武将vs高校生アスリート」がテーマで、彼らの高校、滋賀県にある私立星徳高校は、全国屈指のアスリートが揃う名門校。つまりスポーツの猛者揃い。

 設定としては非常に面白いのですが、僕は寡聞にしてこの作品を知りませんでした。単行本が17巻で累計発行部数が現時点150万部。

 まあ『鬼滅の刃』が電子版を含めて累計1億5千万部を売り上げていることと比較するれば、その1/100ですから「そこそこのヒット」というところでしょうか。

 ただ、第一部の完結はどうやら「打ち切り」だったらしく、おそらくファン投票数が伸びなかったのでしょう。

群青戦記

 今回の映画は監督に「踊る大捜査線」シリーズのヒットメーカー本広克行を起用し、話の進行も大幅に改変されているので、別作品として楽しむのが吉かと思います。

 そして、新田真剣佑が単独初主演という話題付き。僕は千葉真一氏の長男である彼が大好きなんですよね。

 『ちはやふる』の新(あらた)役で刮目(日本アカデミー賞の新人賞受賞)し、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』では大幅な体重増で虹村億泰の役作りをしたことに感動し、その後もハリウッド映画『パシフィック・リム:アップライジング』や『東京喰種トーキョーグール』の宗太役など、目覚ましい活躍を続けていますからね。

 さて、この映画のもう一つの見所は、イケメンがごっそり出てくること(笑)

 何故かと言えば「この映画は日本版アベンジャーズだ」と言われるほど、仮面ライダー俳優や戦隊ヒーロー、ウルトラマン俳優達が大挙出演しているからです。

 そう言えば、真剣佑君自身も竹内涼真が主演した『劇場版仮面ライダードライブ』で主人公ライダーに対峙する仮面ライダーダークドライブを演じていました。

 で、アメフト部の副主将佐野亮(市川知宏)は仮面ライダー最光、フェンシング部成瀬勇太(飯島寛)は仮面ライダーエグゼイド。

 今回の映画で生徒たちに立ちはだかる最凶の敵、簗田政綱(渡邊圭祐)が仮面ライダーウォズだったり。

松平元康/徳川家康(三浦春馬)

(C)2021「ブレイブ 群青戦記」製作委員会 (C)笠原真樹/集英社

 さらに織田信長に仕える木下藤吉郎(豊臣秀吉)役の池田純矢は「海賊戦隊ゴーカイジャー」のゴーカイシルバー。

 元康(徳川家康)の右腕本多正信(高橋光臣)は「轟轟戦隊ボウケンジャー」のボウケンレッド。

 科学部の萬次郎(濱田龍臣)は「ウルトラマンジード」の主人公朝倉リク(ジード)だったりする。

 まさに『日本のアベンジャー総結集』、これで敵に負けるはずがないっ!

いやいや、誰もヒーローに変身しないから。

 特筆すべきは「生徒たちのヒーロー」は体力自慢のアスリートだけではないという事。科学部は化学知識を活用して炸裂弾を作ったり偵察のドローンを飛ばしたり。歴史部は自分たちの置かれた状況を状況を分析するなど部活ノウハウを総動員。

 そしてみなイケメン(笑)

 そこに、最近一皮むけた織田信長の松山ケンイチや徳川家康の三浦春馬らが加わるのですから、世のイケメン好き(うちのケイコ)にはたまらないラインナップ。

織田信長(松山ケンイチ)

(C)2021「ブレイブ 群青戦記」製作委員会 (C)笠原真樹/集英社

 すると問題は一つ。歴史上敗北することが分かっている今川方に加勢してしまった生徒たちの運命。

 陽動作戦の使命を果たすべく拉致された5人の級友が囚われている丸根砦に救出へ向かう生徒たち。

 歴史部と科学部は、霊石に再度落雷が起きるタイミングを予測して、自分たちの「帰還」の可能性をはじき出し、残された時間内での決死の救出劇。

 序盤こそ、アメフトボールに仕込んだ爆弾や野球部の火の玉鋼球で華々しく進撃するが、当然に被害ゼロでは収まらない。

 次々とアスリートにも犠牲者が出てくる。だってそうでしょう・・日本刀を持つ甲冑武者相手に、アメフトのスクラム攻撃やフェンシングの細い剣が通用するはずもない。

火の玉鋼球攻撃

 まあ、そこもまた見所の一つなのでしょうか。

 互いにライバル視して「体力バカ」「前髪ナルシスト」とディスリ合っていた空手部主将とフェンシング・チャンプは多勢に無勢の中で、お互いを庇い合いながら倒されてしまう・・。

 彼らをまとめ上げていた剣道部主将の考太(鈴木伸之)もやられてしまう。

 最後まで頑張っていたボクシング部の黒川が遂に力尽きて敗れる場面など、涙なくしては見られません。(うっうっ・・)

ライバル同士の末路

 これはまさに滅びの美学・・『俺たちに明日はない』のボニーとクライドのラストシーンが蘇える。

 何故ならば、敵のラスボス簗田政綱(渡邊圭祐)は全て先を読んでくる。

 しかも超・超イケメン(笑)いったい此奴の正体は!?

簗田政綱(渡邊圭祐)

(C)2021「ブレイブ 群青戦記」製作委員会 (C)笠原真樹/集英社

 簗田政綱は実際に織田信長の桶狭間の戦いを主導し、勝利に導いた歴史上の人物ですが、詳しい史料がなく謎の多い武将。

 『三河後風土記』の桶狭間の戦いの条にその名があり、多勢の今川軍に対し尻込みをする織田家臣団の中にあって、ひとり信長に奇襲を進言し、織田軍の先陣に立って第一武功を上げた人物。

 しかし、史料に登場するのはごく僅かで、その後の消息は闇に包まれている。そもそも何故彼が今川陣の配置を知り、今川義元の所在を突き止めたのか謎なのです。

 映画の中では、この簗田政綱(渡邊圭祐)こそが、一年前に校舎の屋上から身を投げて姿をくらました生徒:不破瑠衣その人で、信長を扇動して戦乱の拡大を企図し、原作の中ではさらに明智光秀をそそのかして信長を亡き者にしようと画策する極悪人なのです。

 しかし・・・この簗田政綱(渡邊圭祐)のキャラクターが実に魅力的。

簗田政綱(渡邊圭祐)

 悪役が魅力的というのは対戦ストーリーの鉄則ですが、このイケメン揃いのキャスティングの中でも、ひときわ存在感を放ちます。

 それはまるで『ジョジョ』のラスボス、ディオの如く。強いカリスマ性があり、言葉に力がある。

 演じる渡邊圭祐君も前述のとおり仮面ライダー俳優ですが、普段の姿は好青年然としているのに、いざ役に没頭すると完璧にピカレスク・ヒーローを演じられる。

 かなりの演技派と見ました。これからどんどん伸びてくるでしょう。

悪のカリスマ/ディオ

 実写版「ジョジョ」は、東方仗助が主人公となる『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』が映画化されていますが、もし今後、空条承太郎編が企画された場合、ディオ役に起用される可能性は高いんじゃないかな。

ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章

(C)2017 映画「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」製作委員会 (C)LUCKY LAND

 さて、主人公蒼(新田真剣佑)が正体を現した不破瑠衣/簗田政綱(渡邊圭祐)の頂上決戦で殺されそうになった刹那、大高城輸送作戦から帰還した松平元康/家康(三浦春馬)が救援に加勢。

 しかし、その代わりに元康が簗田の凶刃に倒されてしまいます。(ええ~!)

 絶命する(後の)徳川家康。いったい歴史はどうなってしまうのか?果たして生徒たちは現代に帰還できるのか? そもそも彼らが帰る「現代」とは?

 最大のサプライズはこの後に現れます。まだ劇場で公開されたばかりなので、そこは控えておきましょう。(ふっふっふ・・)

 

/// end of the “cinemaアラカルト243「ブレイブ 群青戦記”///

 

(追伸)

岸波

 多分この映画、カリスマ彰に書かせたら「絶対に観てはいけないシリーズ」になってしまうでしょう。

 話が荒唐無稽なSFであるし、ヒーロー物の主役級が揃っているとはいえ、松山ケンイチ・三浦春馬・新田真剣佑・渡邊圭祐以外の演技はまだまだでしょうから。

 なので、あまり細かい事に拘らず、ハラハラドキドキ感を楽しむつもりで観てもらえば、十分に楽しめる作品だと思います。

 そう言えば、新田真剣佑君って既に娘がいるんですってね。しかも14歳の時にパパになって、父親の千葉真一は相手の20代後半の日本人女性に激怒し訴訟沙汰になったとか。(アメリカでは14歳以下の子供に対する性行為は懲役刑を含む重罪。)

 ご興味のある方はネットを検索すれば分かるはず。その相手の女性の苦境を救ったのもまた真剣佑君だったそうですが。

 最後に、特にいらない情報でしたらすいません。

 

 では、次回の“cinemaアラカルト”で・・・See you again !

ブレイブ 群青戦記

(C)2021「ブレイブ 群青戦記」製作委員会 (C)笠原真樹/集英社

eメールはこちらへ   または habane8@ybb.ne.jp まで!
Give the author your feedback, your comments + thoughts are always greatly appreciated.

 

To be continued⇒  “cinemaアラカルト244” coming soon!

 

<Back | Next>

 

PAGE TOP


bannerCopyright(C) Habane. All Rights Reserved.