年長の長男が、保育園で1月からマフラーを編んでいる。不器用なところがあり、できないことはすぐにあききらめるタイプなので、完成品をなかなか持ち帰ってこなかった。
ある日お迎えに行くと、黙々とマフラーを編む長男の後ろ姿があった。その隣には年少からの親友が座って、毛糸玉からせっせと糸を引っ張り出して長男に渡してくれていた。
「早く」とせかすわけでもなく、「頑張れ」と応援するわけでもなく、ただずっと隣にいてくれる。それがどれほど大きな力になるだろう。
毛糸をそっと渡してくれる親友がいてくれるからこそ、長男はあきらめずにマフラーを編めているんだろう。
信じて待ってくれる友達がいるっていいなぁ、と小さな二つの背中を見て心が温かくなった。赤いマフラーを巻いて誇らしげに帰って来る日は近いだろう。
※新聞投稿『傍らに親友 マフラー編む長男』
小学校教員 中谷恵美子(兵庫県 41)より |