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 #227 六つのいろは歌

by 葉羽
Photo by Cressonboy「明け方の海」
BGM"Please Don't Go" by Blue Piano Man
Site arranged by 葉羽

 

◆須磨に嵐や 笛の音そ
 今宵わ歌も 消え暮れて
 舵を納めん 波千里
 平家は露と 亡ひぬる

◆我は海より さすらいて
 潮にまかせん 櫓をつきぬ
 笛の音遠く 妙なるや
 夢も恋路へ 遊ひけむ

◆春 若芽色よく萌え
 夏 沼辺で魚を獲り
 秋 虫の音澄んだ美空
 冬 墓地に苔やせさびれ

◆雪の故郷(ふるさと)お嫁入り
 田舎畦道(あぜみち)馬つれて
 藁屋根を抜け 田圃越え
 葉末に白く 陽も添へむ

◆鳥啼く声す 夢覚ませ
 見よ明け渡る 東を
 空色栄えて 沖つ辺に
 帆船群れゐぬ 靄の中

◆色は匂へど 散りぬるを
 我が世誰ぞ 常ならむ
 有為の奥山 今日越えて
 浅き夢見し 酔ひもせず

 

 

 

葉羽 「いろは歌」について

 イロハ文字を重複なく用いたいろは歌のうち、最も有名な最後の歌は弘法大師の作とも言われています。その一つ前は、明治36年に「万朝報」が募集し最優秀となった作。前の4篇は画家安野光雅氏の『算私語録Ⅲ』に所集されたもので、うち最初の2篇は光雅氏本人の作。


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