<<INDEX <PREVNEXT>
 #211 折句の妙

by 葉羽
Photo:芭蕉が句を詠んだとされる岩間寺の古池
BGM"Please Don't Go" by Blue Piano Man
Site arranged by 葉羽

 

◆「蛙(かわず)飛ぶ池はふかみの折句なり」という古川柳がある。 芭蕉の池や飛び込むの音」は、句の頭を拾って読むと"ふかみ"になる。芭蕉が折り句を意識して詠んだかどうかは定かでないが、古池の句に"深み”が折り込まれている。

◆広く知られた折句の歌では、『伊勢物語』東下りの段に在原業平が"かきつばた"の五文字を頭に折り込んだ歌が知られる。つつなれにしましあればるばる来ぬるをしぞ思ふ」

◆業平の折句は『古今集』にもあり、倉山立ちならしく鹿のにけむ秋をる人ぞなき」 と"をみなえし"を折句にしている。

となくのぞ悲しき風のにしむ夜半のの寝覚めは」は、"南無阿弥陀"を折句にした平安時代の旅の歌。 同じく平安中期に詠まれた 「心こそ心を測る心なれ心の敵は心なりけり」 は、”心”を繰返しの折句とする教訓となっている。

◆教訓を折句にしたものでは、山本五十六の「為せば為る為さねば為らぬ何ごとも為らぬは人の為さぬなりけり」のほか「今いまと今というまに今ぞ無く今というまに今ぞ過ぎゆく」「偽りを言わぬ人こそいさぎよし偽り多きいやな世の中」「論語読みの論語知らずは論もあれ論語読まずの論語知らずは」などが知られる。

◆季節を詠んだ歌では
 春…「桜咲く桜の山の桜花咲く桜あり散る桜あり」
 夏…「瓜売りが瓜売りに来て売り残し瓜売り歩く瓜売りの声」
 秋…「月づきに月見る月は多けれど月見る月はこの月の月」

※小林祥次郎著『日本のことば遊び』や日本折句協会の記事を参考に葉羽要約。

 

 

 

葉羽 「折句」について

 折句とは、まくら(頭文字)の文字に添って言葉を折り込む言葉遊びの一種。調べていて「日本折句協会」なるものまであることに驚愕。この協会では「ありがとう」などを折り込んだ折句コンテストを開催しており、毎年沢山の応募があるとのこと。粋な人達が居るもんですね。


  Copyright(C) Hashimoto&Habane. All Rights Reserved.