◆判断を保留するな。即断・即決を旨とせよ。
・・・角栄は陳情を受けた際、引き受けられるものは「イエス」、無理だと判断したものは「ノー」とその場で答えを出す。「保留」の類は一切なかった。この件について、後に自身でこう言っている。
『人間は、頼みごとをし、なまじ期待感を持たせられたあと結果がダメとなると、その落胆は初めからノーと断られた以上に倍加する。いったんは「あの野郎ッ!」と思われても、その後、他方で手を尽くしてダメと分かると、初めにはっきりノーを出した者に、信頼感が高まるということだ。』
◆人の悪口は飲み込め。プラスになることは何も無い。自分の頭の上のハエを追う事が先だ。
・・・角栄は、人を名指しで悪く言うことは決して無かった。それは、長年にわたって彼を取材してきた記者たちが証言している。その真意について、後に自身でこう述べた。
『悪口を飲み込んだことで、やがて時期が来て利害損得が一致した時、再び手を握る余地が生まれる。人脈はそうして広がっていく部分もある。まず、自分の頭の上のハエを追ったらどうだ。自分に問題はないのか、ということだ。』
◆叱る時はサシでやれ。褒める時は人前でやってやれ。
・・・角栄は、若手議員を鍛える際、細かいことは言わず。見て学べというタイプだった。しかし、目に余る言動があった時などは厳しく叱責した。彼の秘書早坂茂三は、後にこう述懐している。
『オヤジ(角栄)は問題がある議員を呼び出すと必ず余人を交えずサシで叱った。これで議員は失態を他人に知られずにすむ。しかし褒める時は一変、人前でやることで点数を稼がせていた。あのオヤジさんから人前で褒められるのだから得意にならない議員はいない。ここでまたオヤジさんへの敬意と信頼が高まるということだった。』 |