<<INDEX <PREVNEXT>
 #076 朱子学と科学

by hasimoto
Backwall: フランス写真壁紙「モンサンミッシェル」
BGM"Please Don't Go" by Blue Piano Man
Site arranged by 葉羽

 

◆果たして朱子学は科学を受容する基礎となり得るのであろうか。基本的にはなり得ないが擬似的にはなり得る。それは、聖書の創世記の冒頭と、朱子の「近思録」のそれを比較すれば、ある程度理解できる。

~「近思録」第一篇 道体篇の冒頭~
無極にして太極あり。太極動いて陽を生じ、動くことによって静かに、静かにして陰を生ず。静かなること極まって複(ま)た動く。あるいは動き、あるいは静かにして互いにその根となり、陰に分かれ陽に分かれて両儀(天地)立つ。陽変じ陰合して水火木金土を生じ五気順布して四時行(めぐ)る。五行の生ずるや各々その性をことにす。

***朱子学的な考え方によれば宇宙には「気」(ガス状物質)が充満し、この集合によって万物が生じ、離散によって消滅して元の「気」に戻る。この「気」~これを一応「物質」と理解すると、これを集合離散さすものが「理」で、これは全ての個物に内在する。この「理」をエネルギーと解すれば、そのエネルギーは個物内在しつつ同時に統一して宇宙を構成している基本であり、従って「万物の統体は太極なり、分かちてこれをいえば、一物ごとに各々太極を具う」という形になっている。同時に「気」には「陰・陽」があり、これらの作用により「物質」(五行:水火木金土)が形成され、人間もこれによって造られている。***

 

 

 

葉羽 「朱子学と科学」について

 確かにこう解説されると、ビッグバン以降の宇宙の成り立ちと朱子学が説くところは相通じるものがあるような気がします。一方「創世記」では(ダーウィンを知る者の不遜を承知で言えば)ファンタジーでありましょう。ただし朱子が超人的な眼力で、後に明らかにされる宇宙の真理を見通していたとも思いませんが。


  Copyright(C) Hashimoto&Habane. All Rights Reserved.