創造性を育み、発揮させるにはどうすればいいのでしょうか。まずは自覚が必要なことはいうまでもありませんが、次に環境の問題があります。
ある人が創造性はキノコに似ているといいました。それも人工栽培のできないマツタケに似ています。
マツタケはアカマツなどの細い根に菌糸を絡ませて菌根を形成して土中に広がり、秋の温度低下などの刺激を受けて地上にマツタケを出します。
創造性を育てるにも、マツタケにアカマツの根と土が必要なように、恵まれた土壌・環境が必要です。そして、子供たちをその中で自由にのびのびと学ばせねばなりません。じっと放っておかねばなりません。
そして、秋の冷気のように刺激(妨害)があると、創造性がドッと表に現れてきます。このことは、極論すれば創造には逆境(妨害)が必要だとも言えます。
ところで、環境の条件が十分であっても心の中の欲望がなければ創造性は発揮されません。このことをエジソンは「必要は発明の母である」と述べています。
この必要という言葉は、客観的なニーズ(必要)ではなくウォント(欲望)という意味だと私は考えます。
例えば、フォードが市場のニーズを分析しすべての要素を盛り込んで作った自動車よりもホンダの数人のスタッフが生み出した独創的な自動車の方が市場に受け入れられたという例があります。
ホンダのスタッフの“こんな車が欲しい”というウォントがまさに発明の母になったわけです。
同じように私たち一人ひとりの創造性についても、他人から「あなたにはこれが必要だからやってみなさい」と勧められてやってみたところで決してよい成果は期待できません。
自分の内部からウォントが湧き上がってきて初めて、それが発明発見を生み、人は創造の喜びを味わうことができるのです。
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