一つの県では珍しいことだが、群馬県には東村が三つある。いずれも「あずまむら」。星野富弘さんは桐生市に近い勢多郡の東村に住む。渡良瀬川上流の草木ダムのほとり。
星野さんは首から下が動かない。昭和45年、中学の体育教師になって二ヶ月目だった。クラブ活動で器械体操の指導中、誤って鉄棒から落ち、頚椎を損傷する。九年間の入院生活をしたが首から下の自由は戻らなかった。
星野さんは口に筆をくわえて花の絵と詩をかく。激励の手紙に返事を書きたいというのがきっかけだったという。草花に対しても思いやりにあふれた絵と詩は多くの人の感動を呼んでいる。昨年ニューヨークで開いた「詩画展」は米国人の心をとらえた。
星野さんの詩やエッセーは中学の国語や英語の教科書にも載っている。
いのちが一番大切だと思っていたころ、生きるのが苦しかった。
いのちより大切なものがあると知った日、生きているのがうれしかった。 |