Ayumi 今回で、ダッカの「路上の子どもたち」に関する最終報告となります。
マスッドのケース
マスッド(仮名、13歳、男)は、屑拾いをして金を稼ぐ。
友達と一緒の時は働くのも楽しくて好きだ。
でも、拾った屑を盗んで捕まったときには悲しかった。
周りの大人みんなによってたかって、結構めちゃくちゃに殴られた。
時々はバスターミナルの「政治リーダー」の下で小間使いをすることもある。
でも、結局一日一回、よければ二回食べさせてもらえるくらいだ。
で、言われた事をちゃんとできないと言っててはやっぱり怒鳴られて殴られる。
友達とドロップ・イン・センター(DIC)やスクールに来るようになってからは、バス・スタンドで日雇いの仕事をしたりしたけれど、支払いはやっぱりごまかされることもよくあった。
でも、突っかかってもまた怒鳴られ殴られて終わりだ。 |
この状況から抜け出したい
子どもたちの中で、今の仕事が好きな子は一人もいないということを改めてはっきり書いておきたいと思う。
そして同時に、子どもたちのほぼ全員が「この状況から抜け出すには勉強をすることがとても大切だ」と考えている。
アンケートでも幅広い子どもたちの支持を得ていることがわかる。
技術訓練は、こうした点で期待されていたプログラムだ。
サルマ(前回登場した女の子)もDICで縫製のトレーニングを受けている。
更に、女の子や小さな子どもがセンター内で仕事ができるようにと、コミュニティ主導で始められた紙袋を作る作業にも参加して、一日5~10タカ稼ぐ。
そして、DICの紹介してくれた別のNGOの学校に三年生で編入した。
イスラム(仮名、14歳、男)も「何か手に職をつけて、ちゃんとした仕事につきたい」と思っている。
だから、DICでの看板書きの研修には、DICのマネージャーに直接お願いして参加させてもらった。
週三回の授業はとても楽しい。
だけど、まだまだ足りないとも思っている。
看板には字を上手に書けないといけないのに、勉強した事がないからうまくできない。
内容が難しいと感じることもある。
なにより仕事もあるし、週三回ちゃんと通えないことだってある。
「もっと勉強しないと。もしちゃんと新聞が読めたら、絶対看板の字もうまく書けるんだけどなぁ」
(まとめ)今の仕事のこと、将来のこと
こうした子どもたちの将来に明るい希望が見えるように、今後目指すべきは各種教育・研修の対象、目的を改めて明確にすること。
評価チームはまず、①エンパワーメントの意味での簡単な読み書き、②外の危険からの保護としての女の子や幼い子のための紙袋作り、そして③職業訓練としての技術訓練と学校への編入の三つにして整理することにした。
特に技術訓練は、対象となる子どもたちを絞りきれずにイスラムのように終わるケースもが多かったため、従来のものも年齢層の低い子どもの基礎教育の一環としておくものの、年齢の高い者にはより明確に「将来を考える」結果を促すものをコミュニティと連携しながら、改めて見直していきたいと考えている。
同時にきちんとした学力をつけるため、また将来の可能性を広げるために、学校への編入も更に進めていく。
幸い、コミュニティの理解も進み、サルマのように編入する子どもの受け皿が広がってきた。
どうか、子どもたちに幸せな未来が訪れるように、引き続き皆さんの応援をよろしくお願いします。
Ayumi (2020年1月18日リニューアル・アップ)
葉羽 中森あゆみさんによる「NAKAMARI通信」は、いったんここで締めさせていただきます。2020年の現在、彼女は結婚されてお子さんも生まれ、家族とともにミャンマーのヤンゴンへ赴任。引き続き、アジアの恵まれない人たちのために人生を捧げています。頑張れあゆみさん、そしてお元気で。いつかまたお会いできる日を楽しみに。そして写真協力をいただいた山本弘さんに感謝を捧げます。 |