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  誕生日   和子

 どんなところに隠れていようとも
 どんなに無視しようとしても
 年に一回は必ずやってくるそいつ

 そいつは粘土細工の泥をちょっとひねるように
 私の顔にしわや歪みをつけ

 今年はこのくらいの所でおくか?? と言って
 しわの中に入ってしまう。

 私は鏡を見る度に
 そいつがやってきて真面目にやった
 いたずらを嘆くが

 そいつは今まで生きてきたことを
 おまえが思い出してくれればとおもってな~~と
 ひどくなれなれしく私を見る 

 あんたなんかこなくていいよと
 あらゆる悪態をつくが
 そいつは何時も知らん顔で
 全く私の気持ちを無視したまま  もう・・
 60回も来ているのだ


 Midi by H/MIX GALLERY “伝承の丘
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   Site Arranged by Habane

 

 

 

 

 

 

以前、ハンセン病の島に月一のペースで講習に通っていたことが有りました。その時、沢山の詩集を出版されて居る塔和子さんとおっしゃる方と知り合い、記念としてサイン入りの詩集を戴きました。 彼女はハンセン病と戦いながらも明るくバイタリティ溢れる方でした。その中に…誕生日と言う詩があったので紹介したいと思います。
Poem selected by Fujiko

 


 
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