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(丸山芳子)年末の話題をあれこれ。
【2023/12/6】 「壊れたカップ」 毎日使っているカップ。かつて持ち手が折れて修復した接着部分が、再び剥がれてしまった。。 今度こそしっかり修復したいから、接合した上を、さらにボンドでくるんでみた。いかにも「ここが壊れました」みたいなので、ほかのところにもボンドを巻いてみた。 滑りどめにもデザインとしてもいいんじゃない? 【2023/12/9】 「中学生絵画展の審査会」 一昨日は、板橋区に半世紀に渡って居住し制作した、日本画家の佐藤太清氏を記念して開催される中学生絵画展の審査会だった。 私は板橋区在住の美術家として3人の審査員のひとり、もう15年になる。15年のあいだに、応募作品はじわじわと表現力を高めていることを実感した。 今年の作品は、パンデミック後や戦争の只中という時代の空気を反映してか、内省的なものや、地球環境を意識したものが多くなった。中学生という、子供と大人の間の感性から生まれる表現に触れるのは、いつも新鮮だ。 静かな印象の作品ながら、独自の表現を工夫しようとする意思や、対象をみつめながら自分の心を見ている作者の、制作の臨場感が感じられた。 表彰式では板橋区長からの授与とともに、私が講評する役回りなので、中学生のみんなに感想を伝えて応援したい。 【2023/12/9】 「壊れたカップ/続編」 「理想の老いとは何だろう」という内容で、結成60年を超えるローリング・ストーンズについて書かれた朝日新聞「天声人語」には、とても共感した覚えがある。 日本のファンクラブ会長によると、彼らが18年ぶりにだした新作アルバムは、老いも衰えも、変容がとても人間らしくて魅力的なのだという。昔の曲は音を間引きして、高齢化した彼らが演奏しやすいように変えるし、若い助っ人を加えて生き延びようとする振る舞いが、人間らしいという。 確かに還暦を過ぎれば、視力に始まり身体能力は減退するし、新しいシステムへの順応がはなはだ難しくなる。その上、高齢となった親のサポートも自分の役割として加わるから、あれもこれもで大変だ。そんななかで、あらゆる分野での第一線が、若い世代へと交代していくことへの寂しさや焦燥感を感じることがある。 しかし、老いること、枯れていくことが見せる味わい深さを、先輩方が見せてくれて、私も肯定的にとらえられる。人間だけでなく、樹木などの生命体や、物についても。 ・・・・・・・ という流れで、カップの修理、続編。
持ち手をくっつけて完成のはずだった。しかし放置した後で見ると、つけた部分が落下していた。。ボンドを付け直して、落下した部分をはめ込もうとしたら、無事だった持ち手の下部まで折ってしまった! ふたつの折れたかけらをつけるのは至難の技、指についたボンドがあちこちについて、あぁ・・・ 最終的に、持ち手はゆがんで固まった。 接合部分にボンドを盛ってカムフラージュしているけれど、実はかなりずれて隙間あり。使うときは持ち手を持たず、カップ本体を持つべし。 失敗や修正や継ぎ接ぎだらけで完璧なんてない、人生にも物にも、そういうことこそ味わいになるんじゃないかな。 葉羽 そういう、ちょっとだけ崩れた部分こそが「味」とか「色気」になるんじゃないですか。by リリー・フランキー(笑)
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