（丸山芳子）作品集出版のための準備を進めています。

【2023／8／15】　「混沌の中から / Out of Chaos」

　今年は、発表予定がさみしすぎるほどスカスカ状態。実は10月にリトアニアでの個展規模の発表に招かれていたけれど、残念なことに現地企画者の資金準備が成功せず、海外作家の招聘が不可能となった。

　そんなわけで、リトアニア展の作品準備と現地滞在のために空けておいた日程がぽっかり空いたのだ。

　そこで、同時に計画していた作品集出版に専念するチャンス！と気持ちを切り替えて、取り組んでいるところ。

混沌の中から / Out of Chaos # 9403 1994 板橋区立美術館 / Itabashi Art Museum, Tokyo

　いざ始めてみると、１年間は十分にかかる作業だとわかった。問題は、私自身の作品画像だ。1990年代までは、ネガやポジフィルムで記録していたが、私はまだそれらの一部しかデジタルデータ化していなかった！

　自分の人生をとおして専念していた美術作家としての記録を、中途半端にしていたことに気付かされる。。。

　根気・体力・記憶力・判断力は、衰えていく一方だから、もう先延ばしできない。突然の病の発症もありうるので、今しかない。この作業は「終活」のひとつと言える。

混沌の中から / Out of Chaos #9605 1996 秋山画廊 / Akiyama Gallery, Tokyo

　私の発表活動は、国内外の各地での交流を伴うものが多い。だから作品集の編集作業は、人と関わった人生を振り返るようなもの。これが完了したら、肩の荷を下ろし、晴れやかな気分で、また次なる制作に取り組んでいけそうな気がしている。

　写真は、絵画作家だった私が始めて取り組んだインスタレーション「混沌の中から / Out of Chaos」シリーズの一部。

　互いに支え立つパネルの集合体は、脱色による雲のような濃淡がパネルの層から層へ越えて漂う。そこかしこには、地球上の出来事の画像がかすれて溶け込んでいる。

混沌の中から / Out of Chaos #9605 1996 秋山画廊 / Akiyama Gallery, Tokyo

　あらゆるものが国境を越えて流れる地球のようであり、その危ういバランスは、小さなきっかけで一挙に崩壊する危険もはらんでいる。

　
　転写部分 / transference on the panel

　
　転写部分 / transference on the panel

　すでに廃虚にも見える趣は、新たな何かが生まれる前の混沌なのかもしれない。

混沌の中から / Out of Chaos # 9205 1992 なびす画廊 / Nabis Gallery, Tokyo

葉羽　自分の人生を振り返る作業ですね。僕もそう言う事に思いを致すようになりました。

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