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by Maruyama Yoshiko / Site arranged by Habane

 MIDI"穏やかな空" by Shinjou's Music Room 

 

葉羽 今回からアート・プロジェクト「精神の<北>へ」についてご紹介しいたます。まずは丸山芳子さんがfacebookに立ち上げた「精神の<北>へ」のページからの概要を引用します。

◆「精神の<北>へ」プロジェクト

(東北と世界の北方の表現の共鳴をはかるアートによる東北再生支援活動)
Art activity to introduce cultural expressions both in the Tohoku and in northern countries.

 -東北の真の再生に向けて-

 2011年3月、大震災に見舞われた東北では、広大な郷土の崩壊と原発事故によって、多くの人々が避難民となった。

 彼らは、何もかもを失った上に、故郷からも引きはがされた喪失感を抱いている。

 東北の再生に国を挙げて取り組む今、東北への認識を深め、被災者を含む東北人にとってのアイデンティティを見いだし、自信や誇りを取り戻すきっかけが必要となる。

 東北には、東北の聖都として築かれた平泉をはじめ、津軽をターミナルとする海外交易の記録に見られるように、東北独自の文化と周辺の北方諸民族との交流の歴史があり、その気候風土に合った暮らしや産業がある。

 しかし、古代大和朝廷による蝦夷(えみし)征伐に始まり、その後も続いた中央からの一方向の歴史観と偏見によって、東北の真の姿は未だに明らかにされたとは言えない。

 「道の奥」でも「北の果て」でもなか...った本来の豊穣な東北を掘り起こし、根底から見直す作業こそ、揺るぎない再生の礎となるだろう。

フィンランドでの制作風景 in 2010

フィンランドでの制作風景 in 2010

 -北方世界の中の東北をさぐる-

 プロジェクト「精神の〈北〉へ」は、東北と世界の北方の国々の表現を出会わせることによって、それぞれの作品に表れる精神性のなかに、作品を生み出す源泉である気質、思考、感性を探り、北の人同士の共通性や差異を見いだしながら交流を深めていく活動である。

 当プロジェクトでは、この活動によって探して行く、北の人の共通項、言い換えれば、北的要素を〈北〉と定義する。

 数多くの表現に出会いながら互いに共通する水脈を探ることは、精神の〈北〉でつながる世界の連環のなかに位置する東北を見いだす旅路と言えるだろう。

 アートばかりでなく、パフォーマンス、手仕事、伝承の民話や歌、文学、音楽などの多様な表現の比較検証も同時に進めることは、表現メディアの違いを越えて通底する〈北〉が明らかになることを予感させ、有意義に違いない。継続するほどに響き合う精神の〈北〉の広がりと深さの発見を期待する。

 3.11から2年目を迎えるとき、東北を軸として、世界の北方同士の交流が始まる。

ノルウェイでの制作作品 in 2011

ノルウェイでの制作作品 in 2011

  

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■ はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト事業
 第1回目は、東北のひとつの顔である冬の豪雪地域、会津地方に〈北〉の精神世界を探る。

伝承の有形無形文化財のリサーチ
 自然と密接な神々と地域祭礼、暮らしの歳時記、民話や言い伝え、自然からの素材をいただく手仕事など、伝承の有形無形文化財には、人々の感性や気質が反映されており、懐深い自然や厳しい気候も、精神世界を形成する重要な要因と言える。

 活動のスタートは、地域の人々との交流や聞き取りを通して文化財のリサーチを行い、そのなかに人々の精神性をかたちづくる源を探る。

文化財の作品化
 喜多方の貴重な文化財である明治時代の荒物屋、三十八間蔵は、農村の冬期の副業である手仕事による日用雑貨を納める蔵だった。

 この蔵と会津地方で探った精神性とを撚り合わせ、蔵全体を表現として作品化し、公開する。

 蔵の中には、世界の北方地域のアーティストの表現を紹介する空間 “精神の北Map”(仮称)を設定し、東北の精神世界との共鳴を試みる。

主催/ studio mar :「精神の〈北〉へ」・「はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト」実行委員会
助成/ 文化庁
協力/ IORI倶楽部・NPO法人まちづくり喜多方・NPO法人喜多方グリーンツーリズムサポートセンター
リサーチ/ 1月10日(木)〜2月28日(木)
展覧会・リサーチの公開/ 3月3日(日)〜3月11日(月)
アーティスト/ 丸山芳子(福島県生まれ)+ 北方の国々のアーティストの作品
会場/ 三十八間蔵(福島県喜多方市字2-4647)・他

■ 被災者のためのライフスタイルデザイン支援事業
  〜雪国・会津地方の楽しみ方〜
 
海岸地域から会津地方に避難して来ている多くの被災者は、全く異なる気候・環境での暮らしに戸惑いを感じている。

 当事業では、雪国である会津地方に〈北〉の精神性と魅力を発見し、冬の暮らしの工夫を考案して、会津地方における被災者の生活再建に役立てていただくことを目的とする。

会津地方の生活文化を知り、人を知る
 被災者が会津地方の人々と共に暮らしていくために、この地方の伝承の生活文化に触れることを通して人々を理解し、さらには、被災者自身の郷里の伝承を思い起こし、誇りを持って伝えていくことが、精神の再生につながるものと思われる。

雪国の暮らしを快適にする
 被災者にとって最も困惑するのが会津地方の厳しい冬。

 地元に根付いている固定観念にとらわれない冬の暮らしの楽しみ方や工夫を提案し、さらなる改善案を被災者と協働で作り上げ、方々が会津地方での暮らしに前向きに取り組んでいけるようにする。

主催/ studio mar :「精神の〈北〉へ」・IORI倶楽部
助成/ 福島県
協力/ 福島県立博物館・NPO法人まちづくり喜多方・ふくしま連携復興センター
    NPO法人喜多方グリーンツーリズムサポートセンター
リサーチ・リサーチに基づく交流イベント/ 1月10日(木)〜2月28日(木)
アーティスト/ 丸山芳子
会場/ 三十八間蔵(福島県喜多方市字2-4647)・うるし座(福島県喜多方市寺町4689)・他

■ <同時開催> 喜多方アーティスト・イン・レジデンス

主催/ 国際交流基金・IORI 倶楽部
後援/ 福島県立博物館 協力/NPO法人まちづくり喜多方、NPO法人喜多方グリーンツーリズムサポートセン ター、喜多方蔵の会、FM喜多方、会津喜多方国際交流協会、丸山芳子
実施期間/ 2013 年 1 月 10 日(木)~3 月 21 日(木)
招聘アーティスト/ Vigdis Haugtro(ノルウェー) Margrethe Aas(ノルウェー) Su Grierson(スコットランド)

(丸山ウェブサイト/ http://members.jcom.home.ne.jp/maryoshi/

project【 Spirit of "North" 】

In March 2011, the Tohoku region (East Japan) suffered a great earthquake. At its peak, over 400,000 people became refugees, caused by the vast destruction of land and the nuclear accidents. Many of the victims who were compelled to migrate not only lost everything they had, but must also continue to live with the sense of loss of being torn away from their own homelands. Today, when the rebuilding of Tohoku is a national commitment, we must find ways to deepen our understanding of the region. It is also important that we discover the exclusive identity of the Tohoku people and the migrators, so that they can regain their confidence and self-respect. The Tohoku region has its own distinctive culture and history. It also has lifestyles and industries that suit the climate and the area’s natural features. Despite this, even today the true colors of the region have not yet been unearthed. This situation was originally due to the conquest of the Emishi (Tohoku natives) by the ancient Yamato Imperial Court. It created a biased view of the Emishi people, which continued on to the subsequent central governments that saw them from that one-sided, prejudiced, historical view. Tohoku has often been referred to as Michinoku (lit. “the end of the world”) or a frontier region, but in fact, it has always been a fertile land. A solid foundation to rebuild the Tohoku region can be created through unearthing its fertile features, while also undertaking a thorough reconsideration of the region.

The project Spirit of “North” is an activity aimed at introducing cultural expressions both in the Tohoku region and in northern countries outside Japan. We aim to highlight common features of the inner worlds as possessed by the people who reside in the “North,” while also exploring their dispositions, thoughts and sensitivities, seen as the sources that have created those common features. Our search for a shared undercurrent among the people of the “North” can be seen as a journey to discover the Tohoku region, which is positioned within the world linked with the idea of the “north.”
Aside from visual art, we also believe in the great importance of making comparative analyses between diverse fields of expressions, including performance, handicrafts, folklore, folksongs, literature, and music. With the Tohoku region serving as the linchpin, this project will initiate intercommunications between the “Northerners” of the world.

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Plan and Organize : Studio Mar, Hama-Naka-Aizu Collaborative Cultural Project
Support : Agency for Cultural Affairs
Cooperation : IORI club, NPO Machidukuri Kitakata, NPO Kitakata Green Tourism Support Center
Research : January ~ March, 2013
Exhibition : 3~11, March, 2013
artist: MARUYAMA Yoshiko + Introduction of northern arts
Site : Sanjuhachi-ken-gura (Aza 2chome - 4647, Kitakata, Fukushima)
Maruyama website: http://members.jcom.home.ne.jp/maryoshi/

  

当「岸波通信」の読者の皆様なら先刻ご承知のように、丸山芳子さんはここ数年の間、北欧のフィンランドやノルウェイにおいて国際現代美術野外展に参加され、作品を制作してきました。 (※活動の記録は以下↓)

フィンランド滞在制作日記へ <<Link 丸山芳子T
ノルウェイ〜制作の日々〜
 <<Link 丸山芳子U

 今回の「精神の<北>へ」は、そうした北欧アーティストたちとの連携の下に、現代美術制作を通して北方に居住する民族同士の精神の共鳴を図り、もって東日本大震災で被災した人々の精神の復興を支援しようとする試みです。

 最初のコンセプトは、福島県立博物館等が主催した「会津・漆の芸術祭2011〜東北へのエール〜」にも提案されましたが、これ自体で非常に大掛かりなプロジェクトであったために、あえて芸術祭の中に取り込まず、別のプロジェクトとして企画することとされたものです。

 それが文化庁等の支援を受け、ようやく実現の運びとなりました。

 その中心となって活躍されている丸山芳子さん、遠く北欧から参加していただいた多くのアーティスト皆さん、そして会津の現地でプロジェクトを支えていただいている多くの人々に感謝の意を表し、事業の成功をお祈りしながら、このサイトで引き続き「メイキング オブ 『精神の<北>へ」をご紹介してまいります。

 (※右の背景画像「精神の<北>へ」のカバー写真から)⇒

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