<<INDEX | <PREVNEXT>
 
 

by Maruyama Yoshiko / Site arranged by Habane

 MP3"ファイン・レイン" by 音楽研究所 

 

【2012/7/22】 アゲハの羽化、そして・・・

 無反応の物体と化した蛹カプセルは、撫でてもつまんでも、何の反応もない。

 蛹になったばかりの頃の薄緑と黄色の美しい表面は、乾ききって灰色に変わり、糸で枝にひっかけた姿は、ぶらぶらと揺られたまま。

 生きている証もない。そんな蛹の期間は、予想よりも長かった。

灰色だった表面が黒っぽくなり・・

灰色だった表面が黒っぽくなり・・

 この中に無事に命があるのかどうかは“その日”が来るまでわからない。

 なにせ、蛹の中では、全く目的が異なる体に生まれ変わるための大改造として、細胞の死と生成とが同時進行しているというのだから。

 こちらも小さな物体の中の不思議を、外からそっと励ますしかない。

 蛹化してから10日程経ったころ、からからに乾いた尾の部分が、一瞬、ムクンムクンと動いた!

 まるごと硬化していると思っていたので、動くことにびっくり。

 不意をつかれて、心臓がドキンとなった。長い眠りからさめた瞬間だったのだろうか?

 その夜、表面がみるみる黒ずんできたので、死んで腐ってきたのかも…と心配になった、1匹目の羽化体験。

羽化開始

羽化開始

 その後、次々と羽化が続いた。

 羽化のタイミングは、すべて明け方。そして、蛹の薄皮を透かして蝶の羽が黒く見えてくるのは、どれも前夜になってからだった。

 灰色だった表面が黒っぽくなり、その後、黒い羽の黄色模様がはっきり浮き上がってくる。

 蛹の頭部が裂け、羽や触覚をおなか側にたたんでいた蝶が現れる。

 殻から抜け出す直前に、茶色いおしっこをするので、すべての蛹の抜け殻は下部が茶色い。

 しわくちゃの羽が次第に伸び広がってくる。外は大雨だからか、しばらく居て、存分に魅せてくれた。

羽が次第に伸びて・・

羽が次第に伸びて・・

  

 すべてが飛び立った後のある日、アゲハが飛来する。(※右の背景画像⇒)

 うちで育ったアゲハが戻って来たのかな!?とささやかな期待。

 私の目の前で、庭の柚と山椒の葉に卵を産みつけて行った。

 生みたての瑞々しい卵がいくつも輝く。

 自然はめぐる。命は引き継がれ、繰り返すのだ。

<<2012.8.21 Release by Habane>>

 

|UP ▲|

  MARUYMA YOSHIKO〜発想の泉〜  Copyright(C) MARUYAMAYOSHIKO & HABANE.All Right Reserved.