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その71

寸暇を惜しんで暇つぶし

 前号写真の川俣線だが、松川から飯野、川俣とつながるローカル線で高校時代はまだ動いていた。

 高1の時に、同じクラスで川俣町から通学している生徒が、昔は川俣でも有数の豪商だったが今はすっかり落ちぶれてしまったと、しみじみと話していたのを思い出す。

 養蚕、絹織物で川俣は世界的にも有名だったらしい。

 福島市には今は改名したが福島農蚕高という名の農業高校もあり、地域全体が養蚕業で栄えた歴史がある。

 懐古的にカイコの話をしているが何事も温故知新だ。

 ずいぶん前の話だが、川俣町を訪れたら織物機械が道路脇に雨ざらしになって積み上げられていた。

 もったいない事だがスクラップされ鉄くずになるらしい。

 栄枯盛衰は世の常で諸行無常の響きありだが、ヒビキというタバコがあったのは昭和の話だ。

 昭和の香りは昭和のケムリで昭和は煙草の時代だ。

 ゴールデンバットからイコイやシンセイ、ホープやピース、ハイライトなどいろんな煙草があって映画やテレビドラマの中でも喫煙シーンが多く見られた。

 刑事が容疑者にタバコを与えて心を和ませ自白させる場面がよくあったが、番組のスポンサーは日本専売公社だったのか。

 外国の煙草はヨーモクとか言って高価だったがステイタスのひとつだった。

 キャメルを喫えばおしゃれな外人気取りでフーと上に煙をはく。赤いマルボロを喫いながら運転すればF1レーサー気分で、乗っているのは国産の中古車でマルでボロボロだが、つい無意味にエンジンをふかす。

 シガレットケースやライターなどもおしゃれアイテムで、カッコいいのを持って気取ってた昭和の男達だ。

 ちなみに喫煙は英語でスモーキングだが、横綱をスモー、キングと英訳してはいけないのか、小錦に聞いてみよう。

 街のタバコ屋さんには専用の小さな窓口があって、おばさんが中に座って売っていた。

 近くには赤電話もあって「たばこ」の表示と赤電話が昭和のマチカドの風景だ。

 今は自販機で店が覆われ元々何の店だったのか不明な店も多いが、たばこ自販機の中に、おばさんが座って売ってはいないので、いくら多くたばこを買ってもサービスにマッチはくれない。

「マッチ売りの少女」は有名な物語だが「マッチ売りのおばさん」では物語にマッチしないし「マッチ売りの元少女」もイマイッチだ。

 昭和の喫茶店やスナック、バーなどには店の宣伝も兼ねて、店名入りの小さなマッチが置いてあり持ち帰ることができた。

 もう何年もスナックやバーには行ってないが、以前にホステスさんにマッチでタバコの火をつけてもらい、「マッチで火をつけてくれてサンキュー、ベーリーマッチ」と駄洒落を言ったら一瞬周りが氷りついた。

 ホステスさんが「あはは」と愛想笑いをしてくれたが、声が乾いてい
た。隣にいた友人の冷たい視線を感じたが、一度発した言葉は戻せない。

 店を出る時にホステスさんに「サンキュ―、ベリーマッチ」と言われたが支払いもベリーマッチだった。居酒屋だったら2軒は行ける値段だ。

「♪僕が初めて君を見たのは白い扉の小さなスナック」だが、大きなスナックなどはない。

 喫煙場所がますます制限されると、やがてはスナックでも煙草がスエナックなってしまうのか。

 タバコのスイ過ぎに注意だが、禁煙のヤリ過ぎにも注意で何事もほどほどがいい。

 へービースモーカーは高額納税者だが今は肩身がせまい。

 新幹線ホームの喫煙場所に新幹線より速いスピードで駆け込む乗客の姿が見られるが「危険ですから駆け込み喫煙はおやめ下さい」という放送も必要か。

 列車内で「車内はデッキも含めて全車内禁煙です」と何度も放送されるが「♪デッキで煙草を吸わないでー」と車内放送したらヒンシュクか。

 沢たまきだが「プレイガール」は元祖お色気番組で親の目を盗んで見た思い出がある。

 親の目を盗んで酒を飲んだり、親の目を盗んで煙草を喫ったり昭和の少年には親の目がいくらあっても足りないが、喫煙の件は親からすればモク認か。

 今も親の目を盗んで上京し、寸暇を惜しんで暇つぶしに上野で水撒きしている私だがモクニンしてほしい。

 (2017.6.15)アンブレラあつし

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