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その59

昭和遺児の昭和誇示

 前号で野口英世先生の写真の顔をしばらく見つめていたら、今の自分が恥ずかしくなった。

 私の人生など銅像にも同情にも値しないが「♪どうじょ、このまま」
大目に見てほしい。

 地面に水はかけても人サマに迷惑はかけないで生きたい。

 約一月ぶりに上野公園に行ったら、4、5人の顔なじみの方に「元気」と心配された。

 いずれの方も私より先輩なので恐縮だが、時々は無理でも義理でも行かないと心配をかける。

「♪心配ないからね」って誤変換で「♪心肺ないからね」になるとヒンシュクか。

 街を歩くとAED(心肺蘇生)器具をけっこう見かけるがAEDが何の省略か調べる気力はない。

 ますます高齢化社会になるが、それに伴い街の風景も変わる。

 高齢になるとトイレが近くなるがトイレの前を通ると「タキのうトイレです」としゃべられる事がある。

 滝のように水洗の水が流れるのか。どうやら多機能トイレらしい。

 観光地、日光の多機能トイレは、特別に「華厳のタキのうトイレです」とシャレたらケッコウうけると思うが、日光で温泉に入ることを日光浴とは言わないか。

 日光浴は日焼けだが日焼けサロンの男はニヤケたやつが多いと思うのは、偏見で肌の色で人を差別してはいけないか。

 私の心はフヤケてるが「♪ふーやけ、小焼けの赤とんぼ」の小焼けって何だ。

 ボヤのことではないと思うが、おおやけにできない事なのか。年をとっても分からないことは多くあるが今さら調べる気力もない。

 若いうちの好奇心は必要だが高齢者の好奇心はむしろ危ない。年寄りの冷や水だが私は年寄りの打ち水で水を撒いている。

 高齢化社会にはバリアフリーが大事だが大阪のオバちゃんは自由なのでオバリアフリーか。

 街中の中心地にも老人ホームがどんどんできるが、街におばあちゃん
があふれ、自由に動きまわることをババリアフリーとはいわない。

 ちなみにババロアは歯がなくても食べられるがジジロアというお菓子はない。

 昔、学校で年配の女性校長に教頭としてつかえていたころ、給食の献立を聞かれたので「ババロアですよ。ばばろあ」と返答したら、むっとした顔をされてしまった。

 他意はないのだが誤解されたようで、その後は意図的に校長先生の着ている洋服とか髪型など誉めたのだが機嫌は直らなかった。

 全ては私の不徳のいたすところだが言葉遣いには注意しよう。

 ジョークは相手をじょーく見て言わないと失敗をする。よく「失敗を恐れずに」というが「失敗は恐れなければ」ならない。

 一勝一敗はタイだが一生失敗はタイがたい。

 考えてみれば当時の校長先生の年齢は50代でババロアなんて無礼過ぎる。

 今度会う機会があれば心から謝罪しなければならないが、手ぶらでは失礼なので土産は、やはりババロアか。

 クリスマスケーキの季節だが、昔はバタークリームで今のように生クリームとか生のイチゴなどはない。

 仁丹みたいな銀色の粒が白いクリームの上に撒かれていて子供心にワクワクしたものだ。

 かつて家族で子供の誕生日にケーキにろうそくを立てお祝いした。

 私がケーキを切るために、ろーそくをとって根元についたクリームを舐めたら妻と娘が声をあげて驚いた。

 私がローソクを食べるのかと勘違いしたらしい。

 手についたクリームを舐めるようにローソクの根元についたクリームを舐めるのは当たり前だと思っていたが、そーでもないのか。

 ローソクの根元は銀紙で包まれていて直接ローソクを舐めることはないのだが軽蔑された。

 カステラの底の紙についた甘いカステラを歯先で薄く取り食べてはいけないのか。

 駅弁のふたについた米粒をとって食べたり、ラジウム卵の殻についたシロミをほじっては貧乏くさいのか。

 昭和DNAは昭和中期の、まだ日本が豊かでない頃の原体験だが、いつの間にか忘れてる。

 肉まんをつつんだ紙に肉まんの皮が多くついていても、容赦なく捨てるこの頃の私は平成に感化されて看過できない。

 納豆の容器に納豆粒が2、3個残っても惜しげもなく捨てる自分の生き方にナットクしてはいけない。

 時代遅れの昭和遺児だが意地も食い意地も失ってしまった。

 昭和遺児は昭和誇示するが「昭和はよかった」なんてきっと嘘だ。

 昭和ネタもいいかげん卒業したいが「♪卒業写真のあの人」も「この人」も名前が思い出せない。

「君の名は?」だが平成よりは昭和が似合う。

「♪忘れてしまいたいことや」って忘れてしまいたいことも思い出せないので、あえて忘年会も必要なくなってしまった。

 (2016.12.17)アンブレラあつし

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