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その32

あの日に敬老

 前号の題名は「脱還暦・卒還暦」だが当初は脱還暦で送信した。その後再送信で卒還暦を加えた。

 いつまでも還暦に甘えてはいけない。還暦の祝賀ムードに浸かっていてはいけないという宣言だったが次の古稀を考えると急にテンションが下がった。

 古稀って七十歳、想像できない。考えるのはやめよう。やはり永遠の還暦でいよう。還暦の軌道にしがみつき過去ばかりを振り返って後ろ向きに生きよう。

 牛歩戦術だ。スイッチバックだ。ムーンウオークだ。前には進まないようにする。

 時間よ止まれ、さぶたんだ。ザブトンではない。キビタンでもない。サブタンだ。

(意味がわからず気になる人は「時間よ止まれ」「さぶたん」で検索してください。気にならない人はデンデン無視してください)

 還暦の六十歳は論語では「耳順」で何事にも素直に耳を傾ける事ができるようになるオトナの段階だが私は未だに未熟者だ。

 オトナの階段を昇れずに踏み外している。

 四十歳の「不惑」も五十歳の「天命」も達成できないまま還暦に突入してハヤ1年過ぎた。

 過日、友人宅でクラス会を行い精神的に十五歳時まで退化したが大過なく過ぎる人生などない。

 人生♪色々だが♪七色の虹が消えてしまったの。

 シャボン玉ルルルる♪しゃぼん玉らららラ♪屋根まで飛んだ屋根まで飛んで壊れて消えた。

 これが人生だ。フランス語では「セラビ」だが「セラ美」に変換する
と「セーラー服美人」を連想してしまう私は病気か。

 不治の病には富士の山芋がきくはずがないが隣のトロロは旨そうに見える。人の人生を羨んではいけない。

 自分の人生を自慢してはいけない。卑下してもいけない。淡々と生きるのが美しい。

 「淡々と生きる」つまり「淡れい生」だ。

 「発泡美人」は「檀れい」だが「だんれい生」という合成酒はない。

 シルバーウイークだが金麦が銀麦にはならない。

 テレ朝でドラえもんが放映されているがアサヒスーパードライモンなどというビールはないもん。

 酒のCМでは大原麗子のサントリーレッドが懐かしい。

 学生時代に友人らと飲んだウイスキーはレッドかホワイトだった。

 オールドはその形から「だるま」とも言われたが高価でダルマだけに手も足も出なかったが今は妙に安いので悲しい。

 ホームセンターで箱売りされたりしていると心がコールド。

 初めて海外に行ったハワイの新婚旅行でお土産に洋酒を数本買ってきたが洋酒は当時高価だった。

 ジョニ黒はユニクロではない。オールドパアは老人性痴ほう症ではない。高級酒の商品名だ。

 日本酒ブームになって久しいが実は味の違いがよくわからない。

 純米も大吟醸も蔵出も私にとっては変わらない。冷やせば何でもうまい。美女に注いでもらえば何でも美酒だ。

 あーだのこーだの蘊蓄や感想は無意味乾燥なことだ。

 一億総評論家という言葉があるが今は一億総つぶやきだ。

 つぶやきも大きくなると恐ろしい。つい言ったー事がどんどん広がるので要注意だ。

 私もくだらないダジャレや冗談をつい言ったーりしてしまうので次回から自戒。

 琴線に触れるナイーブな事を無神経に言ってはならない。

 金銭感覚と琴線感覚は人生にとって不可欠だ。

 話は変わりすぎるが前号写真のサメの前の人の顔が同級生のZ一郎君に似ていてびっくり。

 写真の人はノー天気だがZ一郎君は、のう外科の医師だ。開頭手術もするらしい。

 昔、中学校の理科室の標本にホルマリン漬けの大脳があったような気がする。そのほか不気味な動物の標本が多数あって怖かったがワクワクもした。

 好奇心は恐怖心とウラハラだ。

 セクハラ、パワハラ、マタハラとハラブームだが、ふくよか過ぎる女性のフラダンスを無理やり見せられるのはフラハラか。

 女性に向かって太っ腹などと言うのはセクハラマタハラで死刑に値する重罪だ。

 話は戻るが中学校の理科の授業でカエルかネズミの解剖をしてばらした内臓の小腸が給食にでたスパゲッテイに酷似していて食欲が落ちた記憶がある。

 給食といえば仕事上最近まで給食を食べていた。

 給食には検食というのがあって児童生徒が食べる前に管理職が食べて給食日誌に味など記録する。

 毒見だが校長や教頭が毒見というのもよく考えれば可笑しい。

 本当に問題があれば一番先に被害をうけるのが学校経営の責任者だ。

 他の組織ではありえないがガッコウなのでまあいいか。

 危機管理などとカッコウをつけてもしかたない。

 過日、大学生時代の友人と久しぶりに話す機会があった。

 お互いに退化し色々と昔話をしたが、私が30年近く教員を続けたことに感心していた。

 あまり感心されると誉められているようで?さすがに照れる。

 私は髪を肩まで伸ばし痩せた変人のイメージだったらしい。

 大学構内でドラム缶をコーラ缶のようにペイントしたり、芝生の地面に木の板で意味のない柵を作ったりして無駄に遊んでいた。

 卒業制作は厚いアルミ板とレンガを組み合わせて路上に車止めのようなものを作った。

 しばらく美術棟の裏に放置されていたが、じゃまなので処分され廃品回収されたらしい。

 資源ゴミになったので少しは役にたった事が嬉しい。

 昨年、銀座の画廊で当時の指導教授に会う機会があった。

 九十近い高齢で耳も遠くなり、はじめは話が通じなかったが、いろいろと話すうちに思い出してくれた。

 水撒き活動の事を話したら、上野でそんな変な人を見た事があるという。

 美術界では有名な先生なので時々上野の美術館にくる事があるらしい。

 大先生の教え子として恥じない人生を歩まなければならないが還暦あたりを堂々巡りしている。

 威風堂々と生きたいが異風オドオドになってる。

 ♪十五、十六、十七を私の人生暗かった。

 ♪不惑、天命、還暦と私の人生過ぎ去った。

 古稀がどんなに早くとも夢は夜ひらく。

 夜になり暗くなり夢ひらく。

 最近は夜でも明るすぎて夢がひらかない。

 24時間白昼夢で本当の夜も夢もなくなってしまった。

 私の心の病も不治傾向だ。

 あの日に敬老。ふるさとに敬老。早く敬老。

 ♪敬老かな敬老のよそうかな。

 親孝行したい時には親はナシ。

 ナシの気持ちがよくわかる。私はようナシだ。

 (2015.9.25)アンブレラあつし

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